獣医師広報板ニュース

イヌ掲示板過去発言No.1100-200107-76

re多頭飼いについて
投稿日 2001年7月29日(日)15時34分 はたの

獣医師ではありませんがご参考まで。

1 導入時 ア 先住犬が成犬としての自覚があり(=仔犬のわがままへの攻撃抑制があり。8ケ月ではやや不安)、仔犬が乳臭いなら、仔犬を部屋の中へ連れて来て床に降ろして勝手に挨拶させる。たぶんこれで問題ナシと思います。
      イ が、もしもうんと慎重にいきたいのなら、先住犬の尿を採取(紙コップとかで)して薄め、仔犬に掛けておき、近所の散歩コース以外の、先住犬にとってのナワバリの外で対面させ、一緒に連れ帰る。

2 普段の世話。ア 心をオニにして仔犬に冷たくする。先住犬を甘やかす。仔犬にエサを与える際には先住犬にもかならずオヤツをやる、など。仔犬の世話が必要な時、先住犬を無視して始めるのではなく、先住犬に声を掛けて、「先住犬と一緒に仔犬の世話をする」感じで。
        イ 先住犬が意地悪く仔犬を攻撃するのは未然にふせぐ(気配を察知して気をそらすなど)。しつけとして軽く(耳からすこし血が出るぐらいとか)噛むのには干渉しない。
        ウ 仔犬をかまいすぎない。先住犬人間双方にかまわれると疲れます。食って出して遊んで寝て、という仔犬の必要性のみケアし、人間側の欲望で抱いたりなでたりしない。仔犬から寄って来た時はかまっていけれど。
        エ もし本当に1ケ月強で来るのなら(社会化期の関係から2ケ月過ぎまで待つほうがいいと思いますが)、当初、仔犬の糞を先住犬が食べるかもしれないが叱る必要なし。完全に離乳が終わる前の仔犬の糞を成犬が食べるのでは正常だし、「仔犬関係で」先住犬を叱るのはまずい。
        オ 1年後ぐらいが関係性に要注意。2頭相前後して思春期を迎えるので。また意図しない妊娠にも。思ったより早く初回発情が来ることがあるので。
        カ トイレのしつけやフセ・オスワリなどは、仔犬にはあまり急いで教えない。先住犬がやるのを真似て、自然なタイミングで覚えること多し。数ケ月待っても覚えが悪いようなら、一頭ずつ連れ出して訓練時間を作る。

 要は仔犬がいくらかわいくてもぐっと堪えて、構いすぎないのが平和を保つコツだと思います。イヌが複数になると「イヌの群れの論理、倫理」が強く現れます。ヒトの感覚とはずれることもありますが、ヒトが合わせる必要があります。散歩の時などはヒトの社会のルールにイヌを合わさせていますが、イヌの群れの中のことにまでヒトのルールを押し付けるのは無理なのです。ヒトが介入してはいけないわけではありませんが、「イヌを演じて」介入するのが良いと思われます。イヌの群れの論理や倫理は(「強いものがエライ」とか、「でも仔犬のルール違反は大目にみる」とか)、イヌについてのあるいはオオカミについてのさまざまな解説書などお読みになられるとよろしいかと思います。「攻撃」「その解発因」「その抑制」あたりについては、現在では細部については批判もありますが、やはりローレンツの「攻撃(みすず書房かな? 新装版もあったかも)」は、最新の解説書をよりよく理解するためにもお勧めです。

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