獣医師広報板ニュース

イヌ掲示板過去発言No.1100-200310-163

ワクチンと病気、怖いのは?免疫の持続性って?
投稿日 2003年10月20日(月)11時34分 Big 1

私が子供の頃にはインフルエンザの集団接種が毎年のようにありました。ところが
ワクチン接種後の髄膜炎がマスメディアの格好の餌食となり、一大キャンペーンが
はられ、集団接種は無くなりました。その結果、ワクチンのトラブルで死亡すると
予想されるよりもずっと高い頻度でインフルエンザ脳症による死亡が発生してしま
いました。現在、厚労省はインフルエンザワクチンの接種を推奨しています。

私が学生時代には、ジステンパーワクチンはいまほど普及しておらず、犬のジステ
ンパーは珍しい病気ではありませんでした。学生は大学病院の隔離犬舎で、ジステ
ンパーの症例を直に見ることが普通に可能でした。そのころは一回ワクチン接種を
して免疫を獲得しておけば、追加接種は不要でした。それは生ワクチンだからでは
なく、追加接種をせずとも野外ウイルス感染により、ウイルス情報が体内にもたら
されていたためと考えられています。

今はワクチンが普及したおかげでジステンパーは珍しく、滅多にみなくなりました。
そのような環境下では、野外ウイルスの感染機会も少なくなっています。このような
環境下では、昔と同じようには防御力が持続しない可能性が高いと考えられています。
(人では、かつて終生免疫と考えられていた麻疹の免疫が、現在では終生免疫となり
えないことがわかってきているそうです)

野外でのウイルス感染が無いのなら、ワクチン接種は不要のように思われます。しか
し時折、まるで野火のようなジステンパーの集団発生が報告されているのをみると、
ワクチンによる防御が欠かせないものと思います。

また液性免疫を評価する抗体価の測定は、防御力の一つの目安になるだけです。た
とえ抗体価が高くても、液性免疫だけでは完全な防御にはなりきらないからです。
真に感染防御力を確認したければ「攻撃試験」をするしかありません。

3年に一度、これはアメリカでは猫のワクチン接種において出てきたものでした。
猫では、接種反応として繊維肉腫の発生がいわれていたところに、某メーカーの
不活化ワクチン接種猫は、攻撃試験で3年後まで防御力が持続していたというデ
ータから、この不活化ワクチンを使えば3年に1回の接種で良いはずという論調が
強くなったと聞いています。この話には落ちがあり、この某不活価ワクチンは、
他社の生ワクチン(接種後1年以上の防御力持続を確認していない)にくらべ、接
種後反応の発生頻度が3倍以上高かったというものです。
(現在は各種アジュバントの添加により、生ワクチンよりも不活化ワクチンの方
が免疫持続期間が長い場合も多々あります)

新規、追加のいずれのワクチン接種にしても、するしないは飼い主さんの判断でし
ょう。私は無理強いはしていません。が、自分の犬と猫には定期的に接種していま
す。

某団体のワクチン批判はみたことがありますが、事実と虚実を絶妙にブレンドして
いますし、事実についてもそこからの仮説誘導に?なものが実に多い。
また、ワクチンの悪い部分を強調する傍ら、代替法については良い部分を強調し悪
い部分は無視するという、「ト」な学説を唱える方々の特徴が色濃く出ていると、
私は思っています。

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