獣医師広報板ニュース

イヌ掲示板過去発言No.1100-200401-68

Re:多頭飼いに疲れました
投稿日 2004年1月8日(木)19時49分 パールちゃん

ぱままさんへ。

うちも6匹の多頭飼いです。
一触即発状態は日常茶飯事で、昨日も大喧嘩が勃発しました。
2組に分かれての本気の噛み合いです。
でも、ときどきこれをやることで犬たちは群れの折り合いをつけているのです。
喧嘩やウーウーガルガルで常に順位の確認をしているうちの犬たちは、
イヌとしての本能をむき出しにすることを許されている幸せな暮らしをしていると思います。
私はそんな犬たちの姿を見ているのが好きです。
飼いならされ、出てくる餌を待っているだけの犬を見ているより、
人の愛情を得ようとヤキモチを妬き合ったり、ほかの誰よりも一歩前に出ようとやっきになったり、
妹犬を守るためにどんな相手にも立ち向かっていく姉犬などを見ていると、
犬の心の深さや繊細な感情の起伏に感動します。
そりゃ喧嘩になるのは困ります。喧嘩にならない程度のウーウーで留めておいてほしいとは思います。
喧嘩の仲裁をしてひどく噛まれること3回。深夜の救急病院に駆け込んだこともあります。
「こんなに噛む犬、保健所に引き取ってもらったらどうですか?」と医師に言われました。
いえ、噛まれたのは私の手の出し方が悪かったのです。
イキイキと生きているから喧嘩もする、ただ生かされて家庭の飾り物になっているんじゃなく、
イヌっていう動物の本性を見せてくれる、私にとってはそれも犬と暮らす喜びなのですが、
そう思えないと多頭飼いは神経が疲れるばかりかもしれません。
ぱままさんの心境はそうなのでしょうね。

犬には犬の世界があるのです。
2匹以上になればどうしても避けては通れない犬同士のかけひきがあります。
それを理解してあげなければ多頭飼いはできません。
うちの第一位の子チャメはぱままさんちのパピヨンくんと生い立ちが似ています。
母犬があまり教育をしてくれず、いっしょに生まれたもう1匹が虚弱だったため、
くんずほぐれつの遊びを経験できない仔犬でした。
我が家がチャメをもらったとき先住犬チャコがいましたが、
チャコ自身も犬同士でもまれて育った経験がないため、仔犬チャメにまったく無関心でした。
なのでチャメは、ウーと言われたらやめたほうがいいとか、やめてほしいときにはウーと言うんだとか、
犬同士のコミュニケーション方法をぜんぜん学ばずに大きくなりました。
ですから、我が家に犬がどんどん増えたあとも、私を独占することと生活空間を取り仕切ることにとてもワガママです。
自分が世界でいちばんだと思っています。ほかの犬が偉そうにするのをぜったいに認めません。
生い立ちからくるこういう性格は、直そうと思って人が直せるものではないんですよね。
犬同士でしか解決できないことなんです。
先住のチャコ亡きあと、小さな体で精一杯虚勢を張っているチャメを私は第一位の犬として見守ってきました。
第一位としての立場を知らしめるためにほかの誰よりもチャメを優先することに気を配ってきました。
そのチャメも12歳。気力体力が衰えてきました。近々、政権交代のときがくると思います。
そのときに流す血を最小限で食い止めるのが私の課題。
留守中に政権交代闘争が起こったら致命的な結果になるかもしれません。
でも、私は覚悟しています。
犬同士は話し合いで折り合いをつけることはできないのだから、
犬たちよ、体を張って命を賭けて運命を決めていけと。
喧嘩はだめよ〜みんな仲良くね〜なんてことは無理だし不自然。
そう思った日から私は、犬たちの日常のことや運命の結果を考えるのが楽になりました。

多頭飼いには多頭飼いの困り事がある一方、単独飼いにはない喜びや楽しさがあります。
ぱままさん、ぱままさんがパピヨンくんを大好きで、パピヨンくんもぱままさんのことが大好きなら、
よそのおうちにやることはぜひ考え直してください。
よそのおうちに行くほうが幸せと考えるのは最後の最後でいいです。
犬同士には犬同士のかけひきがあることを理解してあげてください。
あとから来たほうが上位になり、先住が下位に下がるのも犬世界には有りです。
そのほうがみんながうまく暮らせる場合も有りです。
ぱままさんちはそうなんじゃないかなあと思います。

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