獣医師広報板ニュース

イヌ掲示板過去発言No.1100-200406-51

Re:フィラリア症
投稿日 2004年6月16日(水)13時53分 投稿者 パールちゃん

ラブさんへ。
フィラリアってホントにややこしいですよね。
予防薬といわれているけれど実は虫が入ってから(感染してから)やっつける駆虫薬なわけだし、
ある時期の虫は薬で簡単に殺せるけれどそれ以上に成長すると薬で殺すというわけにはいかなくなるし、
犬から蚊、蚊から犬と渡り歩かないと成虫にならない変な一生をおくる虫だし、
知れば知るほど複雑でむずかしいです。

さて・・・

1)対処療法中の犬が蚊に刺されて、また感染してない犬を蚊が刺したら感染してない犬もフィラリアになりますね?
なります。フィラリアはそうやって宿主を増やしていきます。

2)薬で幼虫を殺し成虫を残す場合も1と同様に感染した犬を刺した蚊が感染してない犬を刺さしたら、感染しますか?
子虫(ミクロフィラリア)を産むオスとメスの成虫が生き残っているかぎり、感染します。

3)手術をした犬を刺した蚊が感染してない犬を刺したら感染しますか?
手術で成虫を取り出し、その後まだ体内にいる幼虫を成虫にしない投薬をすれば感染伝播は防げます。

4)犬⇔フェレットでフィラリアは感染しますか?
犬・フェレット・猫の三者間で感染します。
フェレットと猫に感染する確率は低いのですが、
犬が何年もかかって症状を悪化させていくのに対し、
フェレットと猫は急速に症状を悪化させてほとんど治療の手立てがないまま命を落とします。

以下、補足になりますが・・・
吸血するのはメスの蚊だけで、14度以上の温度環境で活発に吸血活動をします。
蚊は空き缶1個にたまった雨水の中でさえもどんどん繁殖して、
吸血対象を求めて半径500メートルほどの範囲を移動します。
ですので、近場(家庭内)だけの感染を心配すればいいというわけにはいかず、
蚊がいる地域で蚊がいる時期はいつでも感染の危険があります。
予防薬(あ、駆虫薬ですね)をひと夏投薬しなかった場合のフィラリア発症率は3〜4割、
ふた夏投薬しなかった場合のフィラリア発症率は8割超えだといわれています。
予防薬がいかに大切かってことがわかる数字ですよね。

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