獣医師広報板ニュース

イヌ掲示板過去発言No.1100-200709-18

Re:Re:えむさんへ;ちょっとづつ練習!
投稿日 2007年9月4日(火)16時16分 投稿者 海が好き

完全とは、文字通り「どんな状況でも」です。
いえ、我が家もとてもそこまではいってませんが(苦笑)。

具体的には、
・犬は落ち着いた状態。言葉+身振りに従う(飼い主、正面に立ってる)
・ 〃       。言葉のみに従う(飼い主、正面に立ってる)
・ 〃       。言葉のみに従う(飼い主寝転んでる)
・犬は興奮した状態。言葉+身振りに従う(飼い主、正面に立ってる)...etc

といった具合です。
さらに、おやつのある/なしや飼い主の位置などが加わります。
(うちの場合、興奮していなければ、私が背中を見せた状態で言葉だけでもできますが、興奮すると「おやつ+身振り」が必要になります)

 興奮しやすい子の場合は、わざと興奮する状況を作って、その中でコマンドに従わせる練習も取り入れるとよいと思います。例えば、チャイムに興奮する子ならチャイムを鳴らすとか。このときのコツは、人間は決してわめき散らさないこと(人間が怒鳴ると犬はますます興奮することが多いです)と、一度出したコマンドには絶対に従わせることです。特に、コマンドを出しておいてあきらめるというのは、命の危険に関わるとき以外やってはいけません。「コマンドなんか無視してもいいものなんだ」と犬に学習させないためです。

 できれば、「吠えろ!」で吠え、「静かに」で黙るトレーニングもされるといいですね。これができると、叱らなくて済むようになります(2,3声吠えるのは許し、「静かに」で黙らせる)。

 こうしたトレーニングを楽しく(あくまでも楽しく、ゲームっぽく)繰り返していくと、だんだんに普通の言葉でのコミュニケーションもうまくいくようになってくると思います。とにかく目標は、犬の関心事を「刺激>>>>>飼い主」から、「刺激<<<<<<飼い主」に切り替えることだと思います。

病院やサロンも慣らすことは可能だと思います。まだ若い犬ですし。
そのためには、特に用事のないとき(=犬からすると何もされないとき)に足繁く通って、そこでフードを食べさせるなど楽しい経験を積ませることが大事です。また、他の犬にびびって吠えるのであれば、キャリーバッグなどの「避難場所」を上手に利用し、その中でスペシャルなご褒美をあげるなどするといいかもしれません。

 なお、「練習」と相反するようですが、神経質な犬の場合、ある程度の妥協は必要だと思います。全人生を犬のトレーニングにかけられる余裕のある人はともかく、「この刺激には無理に慣らさなくてもいい。何かあったら飼い主がカバーする」と割り切らないと日常生活が成り立たなくなりますから(実感!)。

 えむさんは、盲導犬を作ろうとしているのではなく、愛犬と楽しく暮らしたいだけなんですよね?他人にケガさせたり、自分自身を危険に晒すような行動はなんとしても直さなくてはいけませんが、「怖い」「イヤだ」といった自己表現を全て封じ込めることはすべきでないと私も思います。例えば、病院の待合室で吠えるなら、診察室までは、好物入りのコングと一緒にキャリーバッグで連れていくようにする..なんていうのも、一つの対処法だと思いますよ。
 
 私もときどき陥りがちなんですが、「他人から見て恥ずかしくない犬にしよう」なんて思わない方がいいです。基本は「お互い平和に楽しく暮らそう」。しつけは、あくまでもその手段の一つだと思います。

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