獣医師広報板ニュース

ネコ掲示板過去発言No.1200-200407-16

>もーたさん
投稿日 2004年6月7日(月)12時20分 投稿者 プロキオン

どうも、話を聞いていると、最初に「カリシウイルス感染症」としてし
まったことが、話を複雑にしているようですね。
まあ、それは、もーたさんの責任ではなく、主治医の先生の認識による
ものですが。

お話を聞いていると、現状は、どうも「慢性化した副鼻腔炎」のように
思われます。
その原因が子猫の頃にカリシウイルスに罹ったことが原因というように
判断されているので、「カリシウイルス感染症」という病名を使用して
いるということのようですね。
病名は「カリシウイルス感染症」で、症状の呼称が「副鼻腔炎」という
ことなのですが、どちらを告知するかについては、規定はありません。
主治医の判断でかまわないことになっています。

本来、ウイルス名を冠した病名を用いるには、そのウイルスを患者から
分離して証明することが求められますが、そのウイルスに固有な症状と
か典型的な症状が認められていれば、敢てウイルスの分離をする必要は
ありません。
カリシウイルス感染症で言えば、口内炎や歯肉炎、とくに舌や口腔粘膜
の糜爛や潰瘍を伴った呼吸気症状です。

今回の猫においては、飼育者であるお姉さんが、これらの症状に気がつ
いておられないようなので、実際に子猫の頃にカリシウイルスに罹患し
ていたか否かは分かりません。
ただ、疾病としては、よくあるパターンなので、猫の呼吸器疾患のおお
まか分類の中から、カリシウイルスがもっともありそうな可能性として
お話されたように推測できます。

ということになると、私が最初のレスで「再感染でしょう」と発言した
のは撤回した方がよさそうです。
本日までにお聞きしている情況では、ウイルス分離を試みても、副鼻腔
内の細菌によって、かなりじゃまされてしまうと思います。また、炎症
自体もこれらの細菌によるものが主たるものであるはずです。
確認も困難を伴いますし、なによりも病態が異なっております。

ステロイドによる治療というのは、炎症時における白血球の遊走に抑制
的に作用しますので、これから上昇してくれなくては困る免疫にとって
はマイナスに働きます。
したがいまして、この薬剤を使用するということは、全身症状はなく、
ウイルスの増殖はあまり心配する必要が無い状態であって、局所の炎症
を鎮めるという目的で使用しているということになるのでしょう。

最初の御質問は、「一度罹患して治癒した後、何年も経過してからカリシウイルスに再感
染することがあるのか? 終生免疫が成立しているのではないのか?」という質問のよう
に受け取りました、どうも本人の現状が異なるようです。
現状は、副鼻腔炎のようであって、慢性化しているものの原因としては、子猫の頃に罹患
した呼吸器感染症であろうと思われます。子猫の頃の呼吸器疾患の1つにはカリシウイル
スがありますよ、 ということのようです。

慢性化した症例(副鼻腔の多くは慢性化していますが)では、すでに起因するウイルスは
どこかに行ってしまっていて、多くは二次感染菌が増殖してしまっています。
当初の質問内容とは、異なる現象が起きているいるわけであって、患者である猫が今現在
発症していることの説明としては、私のレスは適当でないでしょう。
また、今の状態を考えるのであれば、「カリシウイルス感染症」という単語にこだわる必
要性はないと思います。

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