獣医師広報板ニュース

ネコ掲示板過去発言No.1200-201011-52

Re:プロキオン先生
投稿日 2010年11月23日(火)12時59分 投稿者 プロキオン

>オスはこんなに甘えたな性質なのでしょうか?

雄猫は甘えん坊ですね、とくに去勢してしまうと繁殖の方に興味がいかないので、子猫の頃の甘えん坊をずっとひきずっています。うちのジュニ君は、娘達に「大きな甘えん坊」という呼び名を貰っています。年齢や体力的には、我が家の猫の中で一番力があってしかるべきなのですが、本人にはその自覚がなく、自分から他の猫にちょっかいを出すというこがありません。

>先住猫が相変わらず、対面都度毎日!威嚇して、なかなか「入居許可」を
もらえないので、ここはじっくり時間を掛けて、慎重に歩み寄りたいと
思います。

ミミちゃんがボス猫であった頃は、ミミちゃんが良しといえばそれで済みました。今は、リンという若い雄猫(5歳)があまり警戒心をもっていないため、最初に受け入れてくれます。リンちゃんにとっては、動く玩具のようなものですが、彼が舐めて身繕いしてくれたり、その後をついて歩いていれば、他の猫も次第に警戒しなくなってくれます。

>先生の意思ではなく、一方的に押し付けられて増えていった訳アリ猫達なのですか。

訳ありといえば、訳ありですね、あまり大した訳でもなさそうですし、理解したいともおもえないようなものですが。飼い主が負わなくてはならない責任を縁やゆかりも無い人間に一方的に押し付けていくような訳ですから、聞きたいとも思いませんが。

>先生のアドバイスは本当に的確で、動物の事から、飼い主の気持ちや
犬や猫飼ってなければ、およそ体感しないだろう そのあたりの気持ちを
鋭く綴っていらっしゃる。

これは買いかぶりですよ。私は、自分が良い飼い主でありたいとは考えていますが、良い飼い主であったと思えたことはありません。今、現在においても、私の家では猫の飼育密度が高すぎます。猫達には、本来あってはならないストレスを与え続けていることには違いありません。
また、「病院で飼われているから、幸せだね。」という人達も多いのですが、猫のワクチンは完璧ではありませんし、ワクチンのない病気もいっぱいあります。「動物病院は、病気を治す所」という考えの方が多いわけであって、我が家の猫達は、一般の家庭の猫達よりも病気に感染する危険度が高いです。とても他人に推奨できる飼育をしているわけではありません。危険に曝しながらの飼育しかできないのです。
「動物病院は、動物が病気にならないために利用する所。」というように世間の考え方が変ってくれることが私の望みです。

>次女が獣医師もしくは看護士を目指して、この道への方向を固めてるところなのです。
(中略)
子供の夢将来さえも、決めてしまうような衝撃を受けたのだと思われます。


意見交換の方へもよく獣医師になるためには、どんな勉強をしたらよいのかという質問の投稿が寄せられます。
受験テクニックというのは、教えようがないですね。あれば、私自身がもっと楽な思いをできましたもの。でも、逆に楽をしてどうするの?という気持ちもあります。臨床医というのは、獣医師の仕事全体からみれば、かなり偏った仕事です。そんな中でも楽して何をやりたいのかなと思います。いえ、外科手術しか道がなかったものが、注射で治せるようになるという楽は歓迎されるべきことですが、そのようになるためには、大変な時間と努力が必要なはずです、決して楽をしていては到達できないはずですよね。自分が好きで志した道で楽をすることが本来の姿なのか、それを目指していたのかということ疑問です。
獣医学科に入学したとして、テストで分からない箇所があって、隣の席の答案を覗いて回答して良い点をもらったとして、それで自分自身が納得できるかということです。テストで良い点を取ることよりも、患者の前に立つことができるだけのものを身につけることができているかどうかが肝心です。
別の例となりますが、テレビである女優さんがアフリカの動物のレポートを行っていて、そこで喉を噛み切られたガゼルの子がいました。その女優さんは、自分には何もできないと言って死にかけているガゼルの子の前で泣いていまいした。その姿を見た小さい頃の長女が「お父さんなら助ける事、できる?」と尋ねてきました。「薬も器材もないようなところだから、お父さんでも助ける事はできないかもしれない。でも、お父さんなら、ただ泣いてばかりじゃないよ。何もなくても両手で傷を押さえて最後まで血を止めようとするよ。」と答えました。まだ小さかった長女は、納得してくれたようでした。
テストで高得点を取る事が目的ではなく、実際に何かできる自分になっていることに意味がありますから、受験テクニックを聞いてくる人間よりは、何浪しても獣医師になりたいという気持ちをもっている人の方に好感がもてます。

>安楽死の事、生体解剖の事、動物嫌いの方が向いている、等々 と考えさせられます。

私個人は、安楽死については実は否定的な考えを持っています。飼い主の責任の負い方としての選択肢なら、直ちには否定できない面もあるというにすぎません。
また、よく「生体解剖」と表現されますが、「生体」を解剖している大学はありません。検体は、みな「死体」を解剖しています。生体を解剖するのであれば、獣医大の倫理に触れてしまいます。
愛護センターや管理センターで犬や猫がまだ生きたまま焼き殺されていると中傷と似たようなものだと思います。「解剖しなくて獣医師になれますか?」というような解剖を忌むべきものとしてみる考えの人や団体もおります。教育の場で、わざわざ生体解剖をしていると既成事実のように言われてしまうのは大学の先生方にとっても、本意ではないと思います。今後は、単に「解剖」でお願いします。
さらに、解剖も体の構造や生理機構を学ぶだけが目的ではありません、命に関わる・命を背負うことを学び取る意味もあります。

浪人しても、赤点でも追試の常連でもよいのです、命の重さを背負う覚悟とそれを学ぶ気持ちこそが大切です。優秀でなくてもよいですし、器用である必要もありません。ただ、自らが立っている基盤はしっかり作らなくてはなりません。そこがグラついていたのなら、どうにもなりません。獣医師になる、獣医師を続けていくということになりますと、必ずや幾多の命に関わり、その命を背負っていかなくてはなりません。学業の成績が良いのに越した事はありませんが、それ以上に大切なものもあります。泣きながらでもやらなくてはならない事もあるのが仕事というものです。それもまた学ばなくてはならないのも
のです。そんなときにこそ、良き師、良き友人に巡り会う事が大切ですね。

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