＞「健康診断とはどの程度の事を言うのかちょっと分からないんですが
　　？　ハムスターは犬と違って血液検査などもできませんし…歯、体
　　型などをみることならできますが」など言っておられました。


私は、正直で良心的な病院だと思いますけどね！　私もだいたい同じよ
うな返事をしていますし。

ハムスターの心臓の拍動というのは、１分間にどのくらい数だと思って
いますか？　およそ２５０〜５００回の範囲と言われています。
ハムスターのあの小さな身体では普通の聴診器であれば、心臓の極点が
つかめません、つまり心肥大や拡張は聞き取れないということになりま
す、
また、心音自体が１秒間に３〜８回に打つのを、人間の耳がカウントで
きますか？　脈が結滞しているとか、重複しているとか言う事が、最初
から判断できないのです。
これらを聞き分けて診断をくだすことが可能な耳を　みなみさんはお持
ちでしょうか？
体温計もね、ハムスターの直腸や突っ込んでよい大きさの体温計という
のは、ないのです。耳の鼓膜の体温計もハムの耳には大きすぎますよね。
血液検査というのも、あれこれの項目を想定すれば、心臓からでも採血
しないとならなくなります。
聴診や体温測定も　ままならないのがハムスターの診断であって、採血
においても、それだけのリスクを侵しても実施するだけの意味が必要な
のです。

たしかに飼育書には、病院で健康診断とよく記載されていますが、執筆
者自身がハムスターとハムスターの医療事情を理解できていないという
ことになりそうです。
ハムスターの診療をしている先生が書いた本であれば、それこそ、その
病院の先生が発言したようなことを意味しています。
ハムスターの健康を損なうような「健康診断」を求められても、それは
困る、だから、どういうことが気になっているのかを教えて下さいとい
う意味での発言だったはずなのですよ。

「健康診断」というのは、病院にとっては、ひじょうに便利な言葉であ
って、いかようにもお金をかけることができちゃうんです。アメリカな
んかでも、これからの動物病院はトータルウェルネスケアで儲けるべき
という意見も跋扈しており、お金儲けにはとても都合の良い言葉なので
す。
ハムスターで３〜４万円も１回の検査でかかるというのも嫌でしょう！

そして、もう１つさらに大事なことがあって、「健康診断」は「健康証
明」でも、「健康保証」でもないことです。
どのような良い結果が出ても、それはその一時のことであって、明日に
は、病気になるかもしれない可能性を常に秘めているということなので
す。
事故や怪我ということであれば、１時間後でも３０分後でも起こり得る
ということになります。

ですから、飼い主さんが、ただ漠然と「健康診断して下さい」と言って
来た時に、その「健康診断の目的」が、どのような意図にもとづいてい
るのかを知る必要があるわけですし、獣医さんにお任せでなく、キチン
と内容を確認してくるということは、それだけボッタクリでもないとい
うことだし、真面目に考えているということになると思います。

獣医師から見ると、なぜ、あの小さな身体に犬や猫と同じことができる
と飼い主さんが考えてしまうことの方が不思議なのです。
ちょっと、落ち着いて考えてみれば、「あ、なるほど」と分かることな
のですが、やっぱり、それだけ「健康診断して下さい」が多いというこ
となのです。
だから、あ、また健康診断の依頼かと、苦笑してしまうということなの
ではないでしょうか？
犬や猫でも、健康診断の目的を具体的に言って貰えた方が、話が早いの
は言う間でもありません。