獣医師広報板ニュース

ウサギ掲示板過去発言No.1500-200912-32

Re:ほっぺたの膿をだすのは。
投稿日 2009年12月5日(土)17時16分 投稿者 チーママ

みゃんちさん ご心配ですね。
搾り出した処置は、それでよいかと思います。

膿瘍事態は体のどこにでも出来る可能性があり、何らかの原因で炎症が起こり、体内組織内に膿のたまった袋が出来るとお考えになって良いと思います。一般的に膿は流れるものですが、ウサギの膿瘍の場合はチーズ状になっています。
膿瘍はその袋ごと綺麗に切除できれば、治ります。

ところがウサギさんの場合、好発する部分があります。それが歯根由来の膿瘍です。
みゃんちさんのウサギさんの膿瘍は、目の下の頬の部分でしょうか?
それとも頬の下、あごの部分でしょうか?
この部分の膿瘍は歯根が原因の事が多く、ウサギの歯根は人間とは違っていますので、なかなか炎症が治まらず、したがって膿瘍が治まりません。
現在は
・切開して出せるだけ出して、ドレーン(細いチューブ)を設置して自然排膿させる。
・切開して、穴を開けておき、自然と排出させる。
 (この場合は、みゃんちさんのウサギさんのように穴がふさがってたまる事がありますので、かさぶたをはがして排膿させることもあるかと思います。獣医さんによっては、飼い主さんに内部を消毒をさせることもあります。)
・切開して、内容をできるだけとったら、抗生物質の入ったビーズを入れて縫合する。
 (ただし、1度ですまないこともあります。)
といったところかと思います。
どの方法をとるかは、それぞれの獣医さんの診立てや経験、患部の状態によると思います。

考え方としては、人間の歯槽膿漏の膿が頬の方に行ってしまっているとお考えになると分かりやすいかもしれません。
軽度の場合は、膿を出して抗生物質で歯根の炎症も治まれば一度の処置で済みますが、そうでない場合は歯根の炎症が続く限り膿は出てしまいます。
それで切開した部分を開けておくのですね。
歯根が原因の場合は、根本的治療は抜歯ですが、多くの場合あごの部分の骨と癒着などして、抜歯が出来かねる事があります。そうなると対処療法しかないようです。
最近は塩化リゾチームを使って膿瘍を柔らかくして…といった治療法もあるようですが、歯根が原因の膿瘍に対する治療法はまだ確立していないように思います。
一方、膿瘍の原因が他にある場合は、そちらの治療が必要かと思います。

と言うわけで、歯根が原因の膿瘍の場合は、根気良く膿瘍とつきあう事が大事になります。
特に目の下の膿瘍は、どんどん貯まると眼圧が上がったり、ブドウ膜炎等の眼科疾患に移行してて失明などと言う重篤な二次症状も招きかねませんので、そのあたりの原因と予後に関して、かかりつけの獣医さんともう一度良くお話をなさってみてください。

沢山のウサギさんが膿瘍にかかっており、体験記やお役立ちの情報などをHPやブログなどに書いていらっしゃいます。その子が治ったからと言って、その方法で必ずOKと言うわけではありませんが、膿瘍と看病について役立つ情報があると思いますので、ご覧になってくださいね。
膿瘍は難しい病気ですが、治っているケースもありますので、諦めずにしっかりウサギさんを支えてあげてください。
また、もし歯根が原因の場合は炎症を起した部分が痛くて食欲がおちたりすることもあります。その場合は、餌を見直したり、ペレットをふやかしたりして、体力維持に努めてあげてくださいね。
どうか良い経過をたどりますように!
心から祈っております。

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