獣医師広報板ニュース

ウサギ掲示板過去発言No.1500-201204-38

Re:斜頸とうさぎ梅毒
投稿日 2012年2月4日(土)16時48分 投稿者 チーママ

ご心配ですね。
ウサギさんは1匹でしょうか?もしそうならば、うさぎ梅毒は母子感染もしますので、もともと持っていたと言う事でしょう。人間には移りませんが、ウサギ同士は感染率が高いので、他のウサギさんと接触することや、繁殖させることは避けなくてはなりません。

梅毒と斜頸は、切り離してお考えになった方がよろしいかと思います。
ただうさぎ梅毒が感染する環境にいた事を思えば、斜頸の主要原因のパスツレラやエンセファリトゾーン症(EZ症)にも感染しているとしても、おかしくはありません。そういう意味での「斜頸になりやすい」と言うのは、あるかもしれませんね。

で、梅毒は治療可能な病気ですが、初期の薬の投与でスピロヘータという菌を根絶できなかった、あるいは環境が汚染されている等のことで、繰り返すこともあるようです。
お話の様子では、キャリア(菌をもっているけれど、発症はしていない)になっていて、季節の変わり目や換毛期などでストレスがかかると、発症しやすくなっているのではないでしょうか。 気長に付き合う病気ではあるようです。

斜頸に関しては、投薬内容を見るとパスツレラ等の細菌感染だと、先生はお考えになったようです。パスツレラも繰り返しますと、なかなか根絶が難しくなる病気ですので、繰り返すこともあり得ます。
またEZ症であった場合は、駆虫薬が処方されていませんので、再度発症することは不思議ではありません。ただ昔のように突然死を引き起こすような事が少なくなってきているようですので、いたずらに怖がる必要はないと、最近は考えています。

梅毒も細菌感染もEZ症も、早期発見早期治療が要です。特に神経症状に関しては、時間が立つほどに治るのも難しくなりますので、普段の生活の中で一層良く注意して見ていてあげてください。ただあまり飼い主さんが不安になって接すると、それだけでウサギさんはストレスになりますので、いつも明るく陽気に接してあげてくださいね。
鼻の頭や下が湿ったりぬれたりしている。くしゃみをする。手の内側が汚れている。涙目になっている。しゃっくりのようなものをする。体を震わせる。ボーっとしている(声をかけるとハッと気が付いた様子をするそうです)。うなじをそらせて鼻の頭を上に向けている。気がついたら手や顔に怪我をしていた。そうした事に気をつけてください。
特に「しゃっくり」以降は、今までEZ症として聞かれた症状です。
また斜頸になる前には、眼振(瞳がすーっと横に流れる。細かく震える)が出ている事もありますので、時折良く目を見てくださいね。眼振が出ると、人間で言えばめまいのように感じるのでしょう。沈鬱になっている事が多いそうです。

さて、お薬を調べてみました。一番は処方された獣医さんにお聞きする事が大事かと思いますが、参考までに。

クロロマイセチンパルテミート: 梅毒の為のお薬です。

ビブラマイシン: 細菌感染のためのお薬です。一般的にテトラサイクリン系の抗生物質は、腎臓に影響する事があるのですが、このお薬は腸管吸収で主に糞便で排泄されるので、処方されたのではないかと思います。ただ獣医さんによっては、ウサギには使用しないと言う方もおられました。

ビオフェルミンR: これは整腸剤ですね。抗生物質が腸内細菌に及ぼす影響を防ぐために処方されたのだと思います。

プリペランシロップスカノゼリン: こちらは整胃剤。胃の受容体に作用して、胃の動きを正常にするお薬です。ウサギさんには良く使われます。ひょっとして食欲が無かったりしませんでしたか? また神経に作用して、気持ちを穏やかにする効果も期待できるらしく、その為に処方された経験があります。

うさぎ梅毒に斜頸にと、飼い主さんは悲しく思われるかもしれませんが、獣医さんと二人三脚で対処すれば、いたずらに怖がる必要はないと思いますよ。またウサギさん自身が飼い主さんを頼るので、とても親密な関係になる事が多いですね。手がかかるほどにかわいいと言う事なのでしょう。定期健診などで獣医さんとのコミュニケーションを良く取り、日常の観察を良くしてあげて、楽しいうさライフにしてあげましょうね。



◆獣医師広報板サポーター◆
獣医師広報板は多くのサポーターによって支えられています。
以下のバナーはサポーターの皆さんのもので、口数に応じてランダムに表示されています。

サポーター:新日本カレンダー株式会社ペピイ事業部様のリンクバナー

サポーター:ペットコミュニケーションズ株式会社様のリンクバナー

サポーター:ペット用品通販Gズ\ィエ.COM有のリンクグオー

あなたも獣医師広報板のサポーターになりませんか。
詳しくはサポーター募集をご覧ください。

◆獣医師広報板メニュー
獣医師広報板は、町の犬猫病院の獣医師(主宰者)が「獣医師に広報する」「獣医師が広報する」
ことを主たる目的として1997年に開設したウェブサイトです。(履歴)
サポーター広告主の方々から資金応援を受け(決算報告)、趣旨に賛同する人たちがボランティア
スタッフとなって運営に参加し(スタッフ名簿)、動物に関わる皆さんに利用され(ページビュー統計)
多くの人々に支えられています。

獣医師広報板へのリンクサポーター募集ボランティアスタッフ募集プライバシーポリシー

獣医師広報板の最新更新情報をTwitterでお知らせしております。

Copyright(C) 1997-2024 獣医師広報板(R) ALL Rights Reserved
許可なく転載を禁じます。
「獣医師広報板」は商標登録(4476083号)されています。