獣医師広報板ニュース

鳥類掲示板過去発言No.1700-200008-60

Re:鳥と妊婦について
投稿日 2000年8月22日(火)00時46分 はたの

獣医師では有りませんがご参考まで。

人畜共通感染症をナメてかかってはいけないのは確かですが、普通に健康に暮らしている鳥についてはいまさら気にする必要はない、と考えます。何百もいるとか、共通感染リスクの高い病鳥をたくさん面倒みている、とかでないかぎり。

東京から千葉へ引っ越すのはそんなに大変ではありませんが、気候風土や習慣が違う土地に引っ越すのは大変です。外国ならもっと大変です。病原体の立場になって考えれば、鳥からヒト
へ、垂直感染して母から胎児へと引っ越すのは容易なことではありません。仮に、鳥になにかの病原体がいたとしても、そう簡単にはうつることはないわけです。危険性がゼロではないにせよ。
むしろ、ヒトからヒトへのほうが、引っ越しは楽ですね。
 ですから、「全体としてのリスクを減らす」ためには、鳥を処分するより、ヒトとの接触を控えるほうが効果的でしょう。検診先の病院で待合室で待たずに外にいるとか、人込みに出ないとか、胎児の祖父母ではあっても人込み帰り直後には会わないとか。が、現実には、そうもいきません。そうしたリスクはとることになります。である以上、鳥がもたらすかもしれないわずかなリスクは過度に気にする意味がない、と思います。同じ労力や気苦労を費やすなら、他人のもたらすリスクを減らす方向で考える法がトクですから。たとえば、他人のリスクが100、鳥のリスクが10、ぐらいものです。鳥は処分しても、合計リスクが10しか減らず、飼い主は辛い思いをし、ストレスからくるリスクが5なり7なり増えて差し引きいくらも減らない、他人との接触時に気をつけてリスクを3割減らせれば、マイナス30が期待できる、みたいな感じです。口移しに餌をやらない、掃除をマメに、手洗いの励行、といったぐらいでまず十分と思います。周囲の理解が得られることをお祈りいたします。

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