獣医師広報板ニュース

何でも動物掲示板過去発言No.3900-200412-77

RE:猿の飼育
投稿日 2003年9月19日(金)12時10分 投稿者 プロキオン

私はお勧めできません。

猿はよほど特殊な場合を除いて、躾がまずはいらないと考えておいた方がよい
でしょう。
樹上が生活圏である場合は、ことさら排泄のコントロールはできないものと考
えた方がよいです。そして犬歯が私達が考えている以上に長く、咬まれた際の
傷は深くなります。成長した雄の個体となれば、これはそれ相当の覚悟が必要
となります。
(とくにアジアの猿の犬歯は半端ではない!)

まあ、ここまでは人の好きずきなんですが、エキゾチックペットとして猿の診
療症例が多い先生のお話ですと、下痢をして来院する個体の実に9割以上から
赤痢菌が検出されてしまうそうです。
こちらの疾病ですと、保健所への届けでも必要になりますし、動物病院に勤務
するAHTに感染してしまうと困りますので、院長だけしか治療に参加できな
いのだそうです。
赤痢ですから、もとより患者を隔離しなくてはいけないのですが、獣医師自身
だって危険なのですから、飼い主宅に隔離しているという形態での報告になっ
てしまうとのことでした。
保健所から言わせれば、患者である猿は処分、飼い主も検査の結果では隔離病
棟へ入院すべきということになるのです。
両者の間に挟まれる動物病院の獣医師は、とても大変な思いをすることになる
のだそうですよ。ほとんどの猿は健康保菌者であると考えた方がよいので、猿
を診療しようと考えるのであれば、それだけの覚悟をしてから望んで欲しいと
話を結ばれてしました。

ということなので、そのときのエキゾチックペットのセミナーに参加されてい
た獣医師であれば、猿の診療には二の足を踏むのではないかな。

動物を飼育するということは、飼育者とその動物との二者だけで完結すること
ではなく、必ず周囲の第三者にまで及ぶことなのです。第三者の協力が得られ
ないということは、それだけ飼育が困難な動物と言えます。
したがって、よくよく慎重に考えてからの方がよろしいかと思います。


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