獣医師広報板ニュース

動物の愛護掲示板過去発言No.6000-202111-237

Re9:<動物センター>犬猫殺処分室なし 神奈川県が新設へ
投稿日 2015年6月29日(月)19時33分 投稿者 ムクムク 

先週末、神奈川県の動物愛護センター新設についての意見をネットで見かけた神奈川県議の先生数人に送ったところ、さとう知一先生が返事をくれました。
http://sato-tomokazu.com/
やりとりを公開することについて快諾を得ましたので、ご紹介します。
なお、さとう先生は救える命があれば救うことが望ましいという立場と伺っております。

川村幸治−−−−−−−−−−−
私は大阪市の小動物開業獣医師で「獣医師広報板」というウェブサイトを主宰しております。
http://www.vets.ne.jp/
先日以下のような記事をネットで読みました。
<動物センター>犬猫殺処分室なし 神奈川県が新設へ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150623-00000051-mai-soci
私は動物愛護団体などとつきあいがありますが、神奈川県のこの計画はいろんな問題を含んでいると考えています。
1.総工費11億円は寄付でまかなう方針。
 ペット関連企業で目安が付いているのならともかく、一般動物愛護からの募金なら数百万が精一杯だと思います。
一部大口寄付があるでしょうが、全額がそろうとは思えません。
2.捨てられるなどしたペットを新しい飼い主に譲渡する拠点として活用し
 民間の動物愛護団体はどこも数十匹から数百匹の動物を抱えています。
 譲渡に関する需要と供給は、圧倒的に供給側のオーバーで、どの団体もたくさんの動物を抱えて四苦八苦。
 そこに神奈川県が参入することに何か勝算があるのでしょうか。
3.六つ並んだ犬舎は、犬が1日ごとに犬舎を移されて6日目で殺処分されることから「残酷さの象徴」との指摘もあった。
 例えば、大型犬が人を傷つけるないしは死亡に至らせるという事件は少なくないのですが、そのような犬も殺さずに譲渡を目指すのでしょうか。
 その様な犬を譲渡した場合、再度事件を起こした場合、神奈川県の責任が問われますがその準備は出来ているのでしょうか。
4.京都府と京都市が合同で寄付を募り、今年4月にオープンさせた殺処分室なしの動物愛護センターだった。同センターは、寄付で集まった1億1100万円のうち一億円は大口寄付者、580万円は杉本彩さん。
 つまり、一般寄付金は数百万しか集まっていませんが、「総工費11億円は寄付でまかなう方針。」は可能ですか。
5.県議会には「ボランティアが活動資金とする寄付と食い合う」として手法に反対する意見
 民間の愛護団体は金が集まらなくなり、すべて神奈川県に投げ出すようになるでしょ。
さて、神奈川県の問題点を列挙します。
1.神奈川県で犬や猫を放せば、行政で殺さずに面倒を見てくれるとなれば、今まで山や公園に捨てられていた関東一円や静岡県東部の動物が、神奈川県に集中します。
2.譲渡先の一般家庭は子犬や子猫指向。
 放棄される犬は、咬み癖がある、老犬などは病気になって治療費が工面できないなどで捨てられる例が少なくなく、譲渡には向きません。
 行政が残りの寿命の餌代と医療費を負担付することになります。
3.総工費の寄付金ですが、集まらなければ税金投入ですよね。
 施設の運営費も寄付で運営する方針でしょうが、足らなければ税金投入ですよね。
 その費用について解説します。
 犬猫を飼育する費用についてアニコム社が発表しています。
 http://www.anicom-sompo.co.jp/company/news/news_0150202.html
 餌代と医療費だけで年間犬で13万円、猫で9万円です。
 動物の保管数は、通常の動物愛護団体で数十匹から数百匹ですから、神奈川県が行えば1万頭にすぐなるでしょう。
 1万頭×13万円
 この費用は寄付で毎年集まることはありません。
 そうなれば、税金投入やむなしとなりますが、神奈川県は犬猫の福祉に血税を使うのですか。
 そのことについて県民は納得しているのでしょうか。
 また、神奈川県には困っている人はいないのでしょうか。
 そのような人より、犬猫が優先なのでしょうか。
 以下は神奈川県の債務です。
 http://area-info.jpn.org/DebtPerPop.html
 確かに全国では一番少ない。
 だからといって、犬猫の福祉をしてもいいという理由にはならないと思います。

犬猫の福祉は、民間の動物愛護団体がやるべきことで、行政のすることではありません。
待機児童0や給食費の無料化など子育てに行政が力を入れれば、人口は流入し、産業が興り、結果、住民税が増え、福祉は投資となって戻ってくるが、犬の殺処分0に税金を投入しても、誰も神奈川県に住もうとは思わない。
神奈川県の放浪犬は行政が保護して大事にしてもらえ、神奈川県のホームレス(人間)は今まで通り放置される。
もしこのような計画が実行された場合、神奈川県は人の福祉を切り捨てて、犬の福祉を開始した県として不名誉な評価がなされると思います。

さとう知一先生−−−−−−−−−
ご意見ありがとうございます。

寄付で賄う件については、議会会派の中でも
賛同できない旨を表明している所も
少なからずあります。
寄付の11億円は、おそらく集まると思います。
これまでも無理と思われる大きな寄付(神奈川フィルに対するもの等)を
ギリギリでかき集め、何とかしてきました。
仮に集まらなかった場合は、補正予算を組んで対応する事となると思います。
いずれにせよ、議論は今後のことであります。

私たち会派もこれから、会派としての考え方と要望などを詰めていくこととなります。

頂きましたご意見は今日、部会のメンバーと共に共有し、活用させて頂きます。

ありがとうございました。

神奈川県議会議員 佐藤知一

川村幸治−−−−−−−−−−−
いきなりのぶしつけなメールすみませんでした。
お返事感謝しております。
最初の箱物は寄付金が集まっても、運営費はバカになりません。
動物愛護家の人たちは、これで神奈川県では犬を税金で飼い続けてもらえると
信じている人がいます。
しかし、それでは黒岩知事は平成の綱吉になりかねません。
犬が好きな人の気持ちは分からないでも無いですが、行政が人をおいて
犬に税金を使うことだけは避けて欲しいと願っています。
それは、モラルの崩壊です。

さとう知一先生−−−−−−−−−
承知致しました。
狂犬病予防法に位置付けられた県が設置することを義務付けられている施設を
寄付を募って作り上げて運営するのはいかがなものかという直接的な
意見も本会議場で出ています。

審議はこれからですので、言うべき意見はきちんと表明します。
また、川村様から頂いたメールはそのまま、所管の厚生部会に
渡しておきました。
この案件については今議会だけではなくて、これからも続くものと思います。
簡単に11億円が集まるわけではないからです。
引続き注視します。

さとう

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