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この世の外へ クラブ進駐軍      


2003年 日本 青春・音楽

<監督>阪本順治
<キャスト>萩原聖人 , オダギリジョー , 村上淳 , ピーター・ミュラン , 前田亜季 , 真木蔵人 , 大杉漣 , つぐみ , 哀川翔 , 松岡俊介 , 光石研

<ストーリー>
南方の島で終戦を迎えた広岡健太郎(萩原聖人)は、日本に帰還し、バンド仲間を集めて、米軍基地のクラブで稼いでいた。しかし、その基地の中には、日本軍に弟を殺され、日本人を憎むラッセル(シェー・ウィガム )や、戦争で、息子を亡くした軍曹(ピーター・ミュラン)など、複雑な思いが渦巻いていたのだった・・・。

<感想>
多くの犠牲者を出した戦争が終わり、戦後をたくましく生きる男達の姿を描いた物語です。
人々は、食べるために必死で、少しでも手に職を持つ者は、それによって、金を稼ぎ、生活をする時代。ジャズを愛した男たちも、手に手に楽器を持って、トラックに乗り込み、進駐軍のキャンプ巡りをする。そんな彼らの群像劇です。
主人公の広岡健太郎や他のメンバー、そして、駐留するアメリカ人にも、それぞれの物語がありました。
ともすれば、暗くなりがちな終戦直後の話ですが、その中で、笑いを誘うのが、オダギリジョー演じる池島昌三でした。一応、ドラムのスティックは、持っているものの、ドラムではなく、本当は、和太鼓しかたたいたことがない彼。それでも、生きるために必死に、彼らについて行く、そのしたたかさをコミカルに演じて面白かったです。

他にも、当時の日本の様子が色々な視点で描かれていました。
戦争が終わったとたんに、アメリカ人に媚びる人、媚びなければ生きて行かれない人。反政府運動をする人、麻薬の常用で、自らの命を縮めてしまう人、小さいながら自分の力で生き抜こうとする子供たち。そして、駐留するアメリカ人の心の中まで描いています。
当時の日本の縮図が描かれているようでした。

彼らのバンドが奏でるジャズのナンバーも、楽しかったですが、萩原聖人の歌が、もっと上手だったら良かったのになぁ(^^;。

そして、終戦から5年後、朝鮮戦争が始まって、駐留していたアメリカ人たちが、再び出兵してゆくシーンは、切ないですねぇ。
当時の戦争は、今の戦争と、大違いで、戦死者も、戦傷者も、すごく多いのが、痛々しいです。ただ、このシーンがあったため、なんだか視点の定まらない映画になってしまったような気がしました。 (2006,08,19)



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