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血と骨      


2004年 日本 

<監督>崔洋一
<原作>梁石日
<キャスト>ビートたけし , 鈴木京香 , オダギリジョー , 塩見三省 , 北村一輝 , 國村隼 , 伊藤淳史 , 中村麻美 , 唯野未歩子 , 柏原収史 , 中村優子 , 新井浩文 , 松重豊

<ストーリー>
1920年代。済州島から夢と希望を持って大阪にやってきた金俊平。数年後、彼は、朝鮮人長屋でかまぼこ製造業を始め、儲けた金で、貸金業も始めた。しかし彼の凶暴さは、周囲を圧倒し、自分に反発する者は、妻や子供でも、容赦なく、暴力を振るって、恐れられていた・・・。

<感想>
だいぶ前に梁石日さんの原作を読んで、衝撃を受けました。
その映画化で、主演が、ビートたけし。ん?イメージ合わないなぁ。もっと、大男で、たくましい怪物みたいな男でないと・・・。私のイメージとしては、六平直政さんが、ぴったりなんだけどな〜〜。
・・・という風に、最初は、たけしの金俊平役に、違和感があって、入り込めなかったのですが、見ているうちに、彼の鬼気迫る憤懣や、いらだちによる暴力の激しさに、圧倒されてゆきました。彼はいったい何で、あんなにいつも苛ついていたのでしょう。あのすさまじい暴力には、なにか、病的なものを感じてしまいました。

本を読んだときにも、すごく印象に残った丸々1頭の豚の解体。内臓も、残さず調理し、ウジ!が、わいても食べる壮絶さに、クラクラしましたーーー(^^;。
一種独特な匂いがしてくるような、たくましくて、壮絶なこの時代の朝鮮人長屋のようすなど、原作を読んだときの衝撃が甦ってくるような映画となっていました。

ただ、映画としては、金俊平の人間離れした行動の理由が分からず、何で?どうして?と言う疑問が残りました。他人はもちろん、妻子まで信用できずに、金の亡者となってしまった理由が、知りたかったです。
ラストも、誰も信じることなく、誰をも寄せ付けず、逝ってしまった金俊平。
彼の人生とは、いったい、何だったのだろうと、呆然とする映画でした。

梁石日原作の金守珍監督作品、「夜を賭けて」も、合わせて見ると、なお一層、この当時の朝鮮人長屋の様子が、よく分かります。(2006,08,15)



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