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太陽に灼かれて      


1994年 ロシア・フランス 

<監督>ニキータ・ミハルコフ
<キャスト>オレグ・メンシコフ , ニキータ・ミハルコフ

<ストーリー>
1936年、夏、ロシア。田園風景の広がる「芸術村」の一画で、革命の英雄コトフ大佐(ニキータ・ミハルコフ)は、妻マルーシャ(インゲボルガ・ダクネイト)、娘ナージャ(ナージャ・ミハルコフ)そして親戚たちと幸せな日々を送っていた。そんなある日、家族の昔からの知り合いで、大佐の妻のかつての恋人だったドミトリ(オレグ・メンシコフ )が彼らの元にやってくる。家族たちは、彼との再会を喜ぶが、ドミトリには、ある使命があった・・・。

<感想>
美しいロシアの田園風景。英雄として、村人や、兵士からも尊敬されるコトフ大佐の優雅なる休日・・・。
そこへ一人の男がやってくる。
彼は、妻の元恋人。コトフ大佐は、彼の来訪を複雑な心境で迎えるのだった・・・。
時は、スターリンの大粛正の嵐の最中(さなか)・・・。

前半は、裕福な一家の幸せな一日がゆったりと描かれます。
あまりにもゆったりとした情景で、いったい何を描くつもりなのか、さっぱり分かりませんが、そんな中、妻の元恋人の出現は、ちょっとした盛り上がりをもたらします。
彼と、コトフ大佐夫妻の間にいったい何があったのか・・・?
そんな事情を知らないコトフ大佐の幼い一人娘は、男に懐き、楽しく遊ぶのだが、コトフ大佐の顔色は冴えない・・・。

そして終盤。
これを描くために、あの前半のゆったりとした情景があったのだと分かります。
映画が終わった後に流れる、その後の人々の消息が、悲しく、むなしく感じられました・・・。

コトフ大佐を演じるのは、監督を兼ねるニキータ・ミナルコフ。いい顔つきをしていて、いかにも英雄として皆に尊敬される男の顔です。
そして、愛らしくて、可憐な、コトフ大佐の一人娘ナージャ。彼女の溌剌とした自然な演技、笑顔、笑い声。これは、ただ者じゃない!と思ったら、監督であり、コトフ大佐役でもあるニキータ・ミナルコフの愛娘でした。親子だからこそ、あんな自然な演技が引き出せたのでしょうね〜。
でも、彼女が、可愛ければ可愛いほど、この映画の悲しさが、浮き彫りにされ、胸が痛むのでした・・・。

DVDが発売されてないのが、残念な作品です。(2008,06,22)



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