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「虹」   
吉本ばなな 02.08.07



こんな小さな歴史だけど、生きてきた道上にはたくさんの思い出がある−−−。
ウェイトレスが天職の瑛子、27歳。
丈夫な心が伝える、どこまでも深い癒しの物語。(帯より)

私は知らなかったのですが、これは、「世界の旅シリーズ」の第4作目なのだそうです。なるほど、原マスミ氏の挿画・山口昌弘氏の写真によって、タヒチの風景が目を楽しませてくれます。なんて綺麗な空、そして海!ここに行くのなら、紫外線とか、美白とか気にせず、自然体で過ごしたいですね〜。

ところで、肝心の小説ですが、私にはどうも、癒しの物語には、ならなかったようです。
タヒチに来てからのことと、来る前の出来事とが、交差して話は進むのですが、前半のペットや、植木を介しての彼との見えない繋がりで、心が浮き立つような所は、よくわかって、よかったのですが、ご主人様本人が登場してからは、ちょっと、鼻白んでしまいました。彼に、魅力を全然感じなかったからです。これは、人それぞれの感じ方なので、仕方ないことですが、主人公が恋いこがれる彼に魅力を感じないと、感情移入できませんね。
それに、だいたい、この呼び方「ご主人様」が、いちいち私の感情に触るのでした。
作者の本は、今までも、何冊か呼んだことはあるのですが、どれも、ピンと来ず、残念ながら私には、合わないようです。