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「パークライフ」   
吉田修一 02.10.04



他人だから、恋がはじまる。
東京のど真ん中「日比谷公園」を舞台に、男と女の”今”をリアルに描いた最高傑作!
(帯より)




表題作で芥川賞受賞作の「パーク・ライフ」と、「flowers」の2編が収録されています。

電車の中で、間違って話しかけてしまった女性と、日比谷公園で再会した「ぼく」は、それ以来、一緒に公園でコーヒーを飲んだり、絵画展に行ったりするようになる・・・。若いサラリーマンのプライベートな時間を淡々と描いています。そのほかの登場人物、公園で、気球を飛ばしている老人や、「ぼく」が代わりに世話しているラガーフェルドの別居中の飼い主夫婦、彼らのことも、サラッとした感覚で描かれています。このサラッとしているところが、私には、物足りなかったのですが・・・。

その点、「flowers」の主人公の方が、何を考えてるのか分かりやすくて、安心して読めました。墓石職人の修行中だった「僕」は、東京で、女優になりたいという妻とともに、上京し、飲料水の運送トラックの運転手になる。しかし、そこでの人間関係は、複雑だった・・・。その人間関係の異様さにちょっとひいてしまいますが・・・。

この作家さんは、不思議な作品を書きますね。まだ、「パレード」と、この本しか読んでませんが、現代人の存在感の希薄さ、空気の薄さを感じます。