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「レッド・ドラゴン〔決定版〕」上・下   
トマス・ハリス   02.11.21




満月の夜に連続して起きた一家惨殺事件は全米を震撼させた。
次の満月までに犯人を逮捕すべく、元FBIアカデミー教官のグレアムは捜査を開始する。
彼は犯人像の手がかりを得ようと、以前連続殺人事件で逮捕した精神科医のレクター博士を、収容先の異常犯罪者専用の医療施設に訪ねた。
犯人は次の殺害計画を練る一方でこうした動きを新聞で知り、グレアムをつけねらい始める−−−−
究極の悪ハンニバル・レクター衝撃の初登場作 (裏表紙より)


何で〔決定版〕なのかというと、「著者序文を新たに付した」からだそうです。ほんの数ページの物なのですが・・・(^^;。

これがあのレクター博士初登場の作品なんですね。彼ははじめから、かの「羊たちの沈黙」と同じようなシチュエーションで、登場するのです。
つまり、もう捕らえられていて、捜査官が事件の助言を求めにゆくわけです。
今回捜査の主役となるのが、グレアムなのですが、彼が殺人現場に残された手がかりから試行錯誤しながら犯人を特定しようとする過程が、いつもながら面白かったです。

古い作品(21年前!)なのですが、読んでみると、古さを感じません。
訳のせいもあると思うのですが、後2作のレクター物と比べても、何ら遜色ないどころか、かえってすざまじいとも思いました。この作品で、しっかりレクター物の基礎が確立していると感じます。
今でこそ、この手の映画や小説が氾濫していますが、20年前、この小説を発表した時の反響は、どんなだったのでしょう。
そして、この話ではなく、「羊たちの沈黙」が先に映画化されたのは、どうしてだったのでしょう。

「ハンニバル」を見た後にこれを読むと、レクター博士の出番が、ほんのちょっとで、レクターファンにはちょっと物足りないかもしれませんが、映画版ではもっと出てくるのでしょうか。
とにかくこれで、映画「レッド・ドラゴン」を見る準備が出来ました。(^^)