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「海辺のカフカ」上下   
村上春樹   03.01.09


十五歳になった僕は二度と戻らない旅に出た。
(帯より)



村上春樹不思議ワールドにようこそ。という感じの物語でした。この不思議さが、たまらなく面白かったです。私は、この著者の本は趣味に合わないようなので、あまり読んだことがないのですが、これは、面白かったです。とても読みやすくて、次に何が起こるのか、早く読みたい衝動に駆られました。(と言いながらずいぶん読み終わるのに時間がかかりましたが=なんか、異常に、紙が薄いんですよね、この本(^^;))

この小説は、同時進行で、いくつかの話が進んでゆきます。メインは、カラスと呼ばれる少年と語る、15歳で家出中の田村カフカ君。
それから、ネコとおしゃべりできるナカタさん。
この本の中には色々な興味深いキャラクターが出てきますが、一番のキャラクターはやはりこのナカタさんでしょう。 このエピソードを読んでいる時が一番幸せを感じました。後半、一緒に行動するホシノさんもとてもいいです。こんな風に、何の迷いもなく、生きてゆけたら、どんなにいいでしょう。
他にも、戦時中の生徒集団昏睡事件についての報告、などがあり、その話が、次第に繋がりを持ってくるのです。
結局、最後まで読んでも、謎のままの所もいろいろあったのですが、大筋において、何となく、納得できました。
特に、佐伯さんが、カフカに最後に言う言葉がいいですね。私も、死なないで欲しい人には、こう言いましょう。