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「グッドラックららばい」   
平 安寿子   03.01.14

              

長女が高校を卒業した日、母が家出した。
残された父と姉妹、そして離れて暮らす母のそれぞれのユニークな人生を描く。
モラルと常識を笑い飛ばす、ネオ・ファミリー・ロマン。
(「MARC」データベースより)



とんでもない家族の話です。読み始めから3/4ぐらいまでずっと登場人物に感情移入できなくて、いらいらしながら読みました。
父親、信也の小心さに笑いながらも、こんな人と暮らしてたら息が詰まるとぞっとしたり、積子のいい加減さ、立子の計算高さにも腹が立ちました。母親、鷹子の行動はもとより理解の他でした。

あれ?と思い始めたのは、立子の子、綺羅の話になったぐらいから。
小さくて、大人の愛をそのまま受け入れていた年代から、だんだんとその押しつけが息苦しくなってきて、どこかにそのエネルギーをぶつけたいと思い始める綺羅。
その綺羅に、大人をうまく利用しなさいと教える立子や積子。
このたくましさは何なんでしょう。
人にどう思われようと、自分のやりたいことに突き進んでゆくこの人たちのパワーと柔軟さ。お見事です。
この家族をなかなか受け入れられなかった私は、常識という鎧を硬く硬く着ていたようでした。
そう思って読んでゆくと、やたらに常識に凝り固まった人たちのなんと滑稽なこと。
ラストにも筋金入りの「非常識」さんが出てきてニヤリとさせられました。

それにしても子供に「積子」「立子」と命名してしまう信也さん、あなたが一番偉いです!(^^)