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「深追い」   
横山秀夫   03.03.23


    


「コンヤハ カレー デス」
事故死した夫のポケベルに、メッセージを送り続ける妻。
何のために? 誰のために…。真の被害者は…罪深き行為とは…。
事故と事件の狭間に揺れる様々な思惑を描いた警察小説。
『週刊小説』等掲載。 (「MARC」データベースより)



三ッ鐘警察署に勤務する7人の警察官のそれぞれの物語です。
驚くほど警察内部のことに詳しいので、著者は元警察官かと思いきや、12年間の記者生活を送っていた方でした。これは、その時に警察に張り付いて、培った経験でしょうか。

警察というと、事故や、違反ではお世話になりました(^^;し、サスペンス劇場などで出てくる刑事さんは、それなりに知ってはいますが、この本に出てくるような内部のことは知りませんでした。

そこで、驚いたのが、「引き継ぎ」です。
警察官にも、ノルマに近いものがあるんですね〜(^^)。 それに、「既届盗犯等検挙推進月間」には、笑いました(^^;。「窃盗犯罪の検挙件数を競う年に一度の刑事コンクール」だなんて!(^^) やはり人間って、何かしらの競争意識がないと発奮しないもんなんですね〜(^^)。

「又聞き」は、水難事故の関係者の話です。事件として新聞やTVに報道されて、それで、人々の記憶からは消えていってしまう事件でも、その当事者にとっては、一生を左右されてしまうことを、改めて、深く考えさせられました。

「仕返し」は、父親の役職と子供の関係の話です。身近に、社宅に住んだことで、その人間関係にすごく苦労した人がいたので、切実に感じました。

そして最後の「人ごと」。ガーデニングに熱心な刑事とある老人との関わりです。切ない話でした。

全てが警察官の話なのですが、普通のサラリーマンにも通じるところと、一般人とは違う閉塞感もあって、やはり大変な仕事だなと思いました。 そんな警察の人々を、優しい視点で、描いています。