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「お母さんの恋人」    
伊井直行  03.09.03



    
お母さんは36歳、
その時彼は17歳。
市を二分する激流の川にかかる橋のたもとで二人は出会い、
二つの恋が始まったーー(帯より)


読み始めてすぐに、頭が悲鳴を上げました。
お母さんが36歳で、彼氏が17歳。しかも、お母さんは、38歳で亡くなっている・・・?!
さらに、時々その”子供”がナレーターとして話を進めたりするのです。

主な登場人物は、お母さんの小林由希子と、二人の高校生、磯谷健一と大島康明。二人は、大きな橋のたもとで、お母さんに出会い、一目惚れをしてしまうのです。
このどちらの高校生が、”お父さん”になるのかは、最後まで分かりません。いえ、勘のいい人なら、分かるかな?

高校生には、高校生の。そして、小林由希子には、彼女なりの悩みもあって、それらが、同時進行的に進んで行きます。

また、彼らと共に、大きな存在感をしめるのが、市を二分する川にかかる大きな橋です。
市長の意向により、一カ所に集められた交通機関は、奇妙な形にふくれあがった橋を作り上げます。
そして、その右岸、左岸では、経済的な格差も開いてしまっているのです。
ちょっとここら辺が複雑で、頭の中にうまく描く事ができなかったのが、残念です。

そして、急転直下、話が進みます。
こんな事になろうとは・・・ちょっと驚きましたね(^^;。
運命とは、たまに、こんないたずらをするものなのかもしれません。

でも、この二人の”子供”は、幸せに成長したようなので読後感はいいです。