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「キャッチャー・イン・ザ・ライ」    
J.D.サリンジャー 村上春樹訳  

    
村上春樹の新しい訳でお届けする新時代の『ライ麦畑でつかまえて』
さあ、ホールデンの声に耳を澄ませてください。

J.D.サリンジャーの不朽の青春文学『ライ麦畑でつかまえて』が、村上春樹の新しい訳を得て、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』として40年ぶりに生まれ変わりました。ホールデン・コールフィールドが永遠に16歳であり続けるのと同じように、この小説はあなたの中に、いつまでも留まることでしょう。雪が降るように、風がそよぐように、川が流れるように、ホールデン・コールフィールドは魂のひとつのありかとなって、時代を超え、世代を超え、この世界に存在しているのです。ホールデンの声に(もう一度)耳を澄ませてください。(帯より)


題名だけは知っていたのですが、読むのは初めてです。
とにかく有名な本なので、一度は読んでみたかったのですが・・・。
実は、何とも読みにくくて、難儀したのでした。

元の題名「ライ麦畑でつかまえて」。そう聞くと、ドリフターズの「麦畑」を思い出したのですが、読みはじめてみると、全然違う・・・なんだ、勘違いかぁ、と自分の無知を情けなく思ったのでした。
しかし、実は、そんなに間違ったことでもないらしいです。
元々、「ライ麦畑でつかまえて」は、スコットランド民謡だそうで、日本では、「故郷の空」として親しまれていて、それをドリフが歌詞を変えて歌ったのです。そして、元の歌詞は、なんとドリフの「麦畑」に近いらしいです。
そして、この本の題名は、この民謡から取られたというわけで、この本を読みながら、私の頭の中で、「だ〜れかさんと、だ〜れかさんが〜〜」が流れていたとしても、それは、当然のことなのでした(^^)。
この本にも、ちょっとだけライ麦畑のシーンが出てきます。ホールデンの想像上でですが・・・。

この本は、全編通して、ホールデンの愚痴に付き合わされます。
ほんとに、彼の大げさで、自己中心的な愚痴には、ほとほと参りました。何度投げ出そうと思ったことか・・・。
でも、ラストまで読んでいくと、だんだんと分かってきます。私にも、彼のように考えていたことが、かつて、遙か昔に、あったなぁということが・・・。
それを分からせてくれたのが、彼のかつての恩師であるミスタ・アントリーニとの会話です。
深夜、ヘロヘロになったホールデンを温かく迎えてくれて、人生について、真剣に諭してくれるミスタ・アントリーニ。
そうか、彼は、今そういう状態だったのね。いい先生だなと思ったんだけど・・・。

そして、とてもかわいいホールデンの妹のフィービー。彼女とのやりとりからも、成長する過程の少年少女の気持ちが思い出されてきます。
大人になると、昔、どんなことを考えていたとか、どんな風に感じたかとかって、ほんとに、すっきり忘れてしまうものなんですねぇ
かといって、ホールデンの年頃にこの本を読んで、私が、深く感動、共感出来たかどうかは、ちょっと疑問です。何しろ、すごく読みにくいんですから・・・・(^^;。 (2003.12.16)