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「MOMENT」    
本多孝好  

あの病院にはね、
以前から語り継がれている一つの
噂話があったんだ・・・
そして僕は、死を前にした人たちの願いを一つずつ叶えていく。
心に残る物語との出会い。
『MISSING』の新鋭が放つ傑作ミステリ。(帯より)


題材としては重いのですが、語り口がさわやかで救われています。
でも、そこが何となく物足りない気もしました。

死ぬ前の最後の願い。それは、人それぞれですが、その人の集大成なのかもしれない。
と思わせておいて、最後には、いや、そうではない。死ぬ前の望みと言えば、究極の二つしかない。そして、もしそれが、願えば叶うものだとすれば、最終的には、ただ一つ・・・。

ラストは、きれいすぎ、模範的すぎるかなと思いました。ちょっと説教臭いのが、ひっかかりますねぇ。
死ぬ時期を選ぶ権利も人間にはあるような気がしますが、どうでしょうか・・・。

仕事人に望みを託する人が、死を目前とした人ばかりなので、当然、各章のラストは、もの悲しいやるせない気持ちになります
特に3話目は、切ないですねぇ。
果たして私には、最後に電話をする相手がちゃんといるでしょうか・・・。 (2004.02.23)