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「チルドレン」
伊坂幸太郎  



こういう奇跡もあるんじゃないか?
まっとうさの「力」は、まだ有効かもしれない。
信じること、優しいこと、怒ること。
それが報いられた瞬間の輝き。
ばかばかしくて恰好よい、ファニーな「五つの奇跡」の物語。
吉川英治文学新人賞作家、会心の受賞第一作。(帯より)


最近お気に入りの伊坂幸太郎さんです。
この本は、直木賞候補にもなりました。
ウィットが効いていて、暖かくて、優しくて、とんでもなくて。。。

本書は、5つの短編からなる短編集ですが、長編としても読んでも面白いです。と言うか、著者の伊坂さん自身が、それぞれ短編として書いたものだけれど、長編として読んで楽しんでくださいと書かれています。

でも、不思議なのは、年代的に「チルドレン」「チルドレンU」の2作品が10年ほど後の話なんですね〜。
それが、他の話の途中にはさまれている格好になっています。どうして、こういう編集にしたのかなと思っていると、最後の最後にその謎が分かります。
ほんとに、心憎い演出です。

これまででも、伊坂さんの本には、ちょっとした仕掛けがありました。それに気が付いても、気が付かなくても、十分面白いです。本書も、そういう遊び心を感じながら読める幸せを堪能させてくれる本です。

そして、登場人物たちの魅力には、本当にまいってしまいます。
特に、突出しているのが陣内。彼の行動と、その行動に振り回されるまわりの人との掛け合いが、絶品で、何度も、ふふっと笑ってしまいました。 (2004.08.09)