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「蹴りたい背中」
綿矢りさ  

史上最年少*19歳
第130回芥川賞受賞作
愛しいよりも、いじめたいよりも
もっと乱暴な、この気持ち(帯より)


「インストール」から3年、大学生となった著者の2冊目の本です。そして、いきなり芥川賞。すごいですね〜。
前作同様主人公は、高校生ですが、やっぱりちょっと大人っぽくなったかな。
色々な表現が出てきて新鮮でした。
題名の「蹴りたい背中」も、そうですし、冒頭の「さびしさは鳴る」もそうです。
そういう表現は、少々独りよがりな気もするけど、新鮮とも感じました。

高校1年で東京から地方に引っ越した私には、主人公のハツの頑なな態度に、知り合いのいなかった高校生活のはじめの頃を重ね合わせてしまいました。
ちょうど思春期のあの頃は、今から考えると、いろんな事につっぱって生きていたなと、ちょっと笑ってしまいます。でも、これは、今だから笑えることであって、そのただ中にいる時は、本当に不安なんだよね。

「蹴りたい背中」は、そんな中途半端な年代の、にな川へのどうしようもないいらだちや、いとおしさ、また、にな川に自分の姿を投影して、しっかりしろ!と、はっぱをかけてのかなと思いました。

今の高校生活は、私の時のそれよりも、ずっと大変そうですね。早く大人になってよかったかもと思った私は、これ、年寄りの負け惜しみかな・・・(^^)。 (2004.08.10)