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「号泣する準備はできていた」
江國香織  

濃密な恋と、絶望、そして優雅な立ち直り方
鼓動さえ伝わってくる、透明な12の物語
大丈夫、きっと切り抜けられるだろう。
ーー体も心も満ち足りていた激しい恋に突然訪れた破局、
その悲しみを乗り越えてゆくよすがを甘美に伝える表題作、
昔の恋人と一つの部屋で過ごす時間の危うさを切り取る「手」、
17歳のほろ苦い恋の思い出を振り返る「じゃこじゃこのビスケット」など、
詩のように美しく、光を帯びた文章が描く、繊細な12の短篇。(帯より)


この題名、すごいですよね〜。一度見たら、決して忘れない題名です。
内容紹介を見もせずに、題名だけを見て、即座に読もうと決めました。
ただ、第130回の直木賞を受賞していたなんて、すっかり忘れてましたけど(^^;。
最近は、本の帯が本の売り上げを決める大きな決め手になるそうですが、題名も、もちろん、そうですよね〜。
このドラマチックな題名を付けた作者は、すごいです(^^)。

読み始めてみると、極短い短編が12編。
短篇だという事に苦手意識を持ちながら読み始めました。
実は、この題名の長編を読みたかったんですよねーー。
でも、この短さが、私の生活パターンに、ぴったりなのでした。
仕事のちょっと暇な時に読むのにちょうどいい長さだったのです。
というわけで、サクサクと読めてしまいました。
様々な立場の女性を優しい視点で描いています。

4人の男女の長い夜を描いた「煙草配りガール」。二人の間にも、そして、彼の家族との間にも感じる「溝」。ある中年主婦のこだわり「こまつま」。義母との旅行「洋一も来られればよかったのにね」。「肉欲に溺れた?」の「どこでもない場所」。不倫相手の離婚に動揺する「そこなう」。そして、完璧に幸せだった時が過ぎてしまった表題作「号泣する準備はできていた」がよかったです。。 (2004.08.17)