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「本格小説」上・下
水村美苗  


あたし、ずっと。ずっと待っていたのに。
「嵐が丘」の燃え上がる愛が現代に蘇る。
今、小説の本当の魅力が鮮やかに華ひらく。
七年の沈黙を破る最新作は、超恋愛小説。(帯より)


いつかは読みたいと思っていた本です。ただ、上下巻あわせて900ページの大作なので、読むものがない時にと、タイミングを計っていたら、2年も過ぎてしまいました(^^;。

上巻は、この小説の重要な登場人物となる東太郎と、筆者水村美苗との出会いと、その関わりに大方さかれています。
これがいかにも長い(^^;。そして、さして面白くない(^^;。ちょっと挫折しかかった頃に、本格的な小説が始まるのでした。
この難関を過ぎれば、下巻は、あっという間に読めてしまいます。それこそ、ページを繰るのももどかしい、寝ないで読んでしまいたいと思わされること必定です。

和製「嵐が丘」といわれるこの小説ですが、私は、なんと「嵐が丘」は、挫折してしまって、読んでないんですねーー(^^;。
映画になったものも2回ほど見ましたが、暗くて、あまり好きではありませんでした。
そんな、あほんだらな私ですが、この本は、読めました。面白かったです。さすが、「本格小説」と銘打つだけのものはありました。
時代がかった昔のお金持ちの人々の生活も興味深かったです。
こんな時代や生活、あこがれますね〜。まあ、これは、一部の限られtた人しか味わえない生活なんでしょうけど・・。

人づてに語られることの多い東太郎なのですが、それだからこそ、人物のバックボーンの厚みが増して、人間としての彼を感じることが出来ました。
この純愛、どうでしょう?!
今の時代には、あり得そうにない恋愛模様ですが、古き良き時代を感じられるしっとりと、そして、たっぷりとした恋愛小説です。
本当のことを言うと、わたし的には、ラストの富美子の話は、目にしたくなかったです。言わずもがなのことと思うのですが、それはそれで、物語の奥行きを一気に深めることになったのかもしれません。

秋の夜長に是非どうぞ。 (2004.09.26)