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「天使の梯子」
村山由佳  




こんなに美しい泪を
これまでしらない
直木賞受賞第一作。最新長編小説
「天使の卵」から10年、歩太・夏姫、29歳。
8歳年下の男に熱愛される夏姫・・・。
再び、あの切ない恋物語が甦る! (帯より)




著者の鮮烈なデビュー作「天使の卵」の続編です。と、偉そうに書きましたが、実は、読み終わるまで分かりませんでした(^^;。
本や、映画を読んだり見たりするときは、あまり前知識を入れないようにするのですが、それが今回は、完全に裏目に出たようです(^^;。
そうか、「天使の卵」の続編だったんですね〜(^^;。こんな事なら、もう一度、「天使の卵」に目を通しておけば良かったわーー。
すっかり「天使の卵」を忘れいていた私は、あわてて、自分の感想を読みにいったのでした(^^;。普段、推理小説や、ホラー小説ばかり読んでいるから、このような純愛ロマンス小説って、記憶に残るはずなんだけどなぁ。
登場人物のちょっと変わった名前も、すっかり忘れていた自分に、本当に呆れかえってしまいました。

(気を取り直して・・・)
”天使の梯子”っていうんですね。あの雲の切れ間から差し込む光のことを。素敵な名前ですね〜。この梯子から、天使が下りてくると言われているそうです。私も、昔から、この光は、なんだか雄大で、好きでした。雲がかかって、太陽の光が見えなくても、雲さえ晴れれば、ちゃんと太陽は、そこにいてくれるって気がします。

主人公の慎一は、子供の頃から親代わりだった祖母を亡くします。それも、後悔の残る亡くし方・・・。これは辛いですねぇ。彼の8歳年上の恋人、夏姫は、彼の気持ちが分かるかのように、彼をいたわってくれる・・・。
死んだ人への後悔の気持ちを持ったまま生きるのは、なんと辛いことでしょう。それは、周りがなんと言って慰めても、消えるものではなく、自分がどうあがいても、救われることはないような気がします。
でも、いつか、どこかで、折り合いをつけてゆかなければならないことでもあるのかもしれません。
そして、徐々に心静かになっていけたら、いいものなのかもしれません。

私は、身近で、人の死に対して、そういう思いを持ったことはありませんが、あることで、非常に後悔することがあり、それが、4年たった今でも、心の傷として残っていて、その季節が近づいてくると、今でも、眠れないほど胸が痛むことがあります(結局寝ますが・・・(^^;)。
それでも、4年前のあの日に比べたら、その痛み方も薄れつつあると思うのです。
心の傷は、そういう風に、薄皮をはがすように、癒えていくものなのかもしれません。 (2005.03.13)