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「天啓の殺意」
中町 信  


柳生照彦から持ち込まれた犯人当てリレー小説ーー柳生の問題編に対し、タレント作家の尾道由起子に解決編を書いてもらい、その後に自分の解決編を載せる。要するに作家同士の知恵比べをしようーーという企画は順調に進行するかに見えたが・・・。問題編を渡したまま、柳生は逗留先から姿を消し、しかもその小説は半年前の実在事件を赤裸々に綴ったものだった。全面改稿決定版! (裏表紙より)



23年前に「散歩する死者」として刊行された本を改稿して、今年再刊行された本だということです。それを知らずに読みましたが、全く古臭さなど感じられず、新刊だとばかり思って読んだのでした。見事な改稿版ですね〜。

物語も、文字通り二転三転し、これは、映画化されても、いいのではと思うほどの面白さです。
あまりにも、話がころころと転がってゆくので、途中で、何がなにやら分からなくなりそうでしたが、なんとかついて行くことが出来ました。
さすがに最終的な謎解きがあった時点で、もう1度読み返さなくては、なりませんでしたが、よく練られたストーリーは、その労を重ねても、読み甲斐があります。
あとでよくよく考えると、本当の動機があまりにも行き当たりばったりかなとも思いましたが、それまでの推理に疲れた頭には、それもアリかなという感じもしてしまうのでした。 (2005.11.09)