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「ある秘密」
フィリップ・グランベール  




禁断の恋。
懊悩。ホロコースト。
孤独な少年の夢想が
残酷な過去を掘り起こす。 (帯より)




著者フィリップ・グランベールが綴った、両親の物語です。

一人っ子のフィリップが、想像で作り上げた理想の兄。
スポーツ万能で、利発な兄は、実は、実在していた・・・。
フィリップは小さな痕跡から、そのことに気づき、そして、知るのです。事実を・・・。

フランスに住んでいたユダヤ人一族の悲劇とロマンス。この正反対の事柄が混在した物語です。人生とは、複雑なのです。
その複雑さが魅力であり、苦しさであり、そしてまた、複雑な、未来をはぐくんでいくんですね〜。
この本は、フランスの高校生が選ぶゴングール賞を受賞し、ベストセラーにもなったそうです。

*

彼の両親の話とは直接関係はありませんが、私が驚いたのは、フランスの戦後教育です。中学生に、ナチスの記録映像を教育として、見せるのです。おそらく、「夜と霧」のようなドキュメンタリーだと思われますが、大人の私でも、相当のショックを受けるような映画です。それを、あえて、子供達に見せるということは、2度と再びこのような悲劇を繰り返すまいという断固とした意志を感じます。日本とは、大違いです。 (2006.04.05)