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「沖で待つ」
絲山 秋子  


















芥川賞受賞作
すべての働くひとにーーー
同期入社の太っちゃんが死んだ。
約束を果たすべく、彼の部屋にしのびこむ私。
仕事を通して結ばれた男女の信頼と友情を描く傑作。(帯より)



帯にもあるように、芥川賞受賞作です。
芥川賞受賞作というと、何となく、意味の分からない本が多くて、少々苦手なのですが、この作品は、久しぶりに、いいなと思いました。

「勤労感謝の日」と、表題作の「沖で待つ」の二編が収録されています。

「勤労感謝の日」
セクハラ被害で会社を退職した36才の女性。
次の就職先もなく、近所の長谷川さんへの義理で、仕方なくお見合いをすることになるが、心の底で、素敵な王子様が来ることも、ちょっとだけ期待してしまう・・・。でも、現実は、やっぱり現実的でした・・・。
同じように独身の後輩もいるけれど、彼女には、仕事も彼氏もいるし・・・。
若くない女性の愚痴をグチグチと聞いているような感じ。でも、何となく分かるんだな〜〜。

「沖で待つ」
これで、芥川賞を受賞しました。私も、こっちの方が好き。
会社勤めで芽生えた男女の友情。
そして、そのあっけない死。
でも、彼の、妻へと宛てた拙い詩が、何故か涙を誘います。
ちょっとだけ涙ぐんでしまいました。
色々と修飾された言葉よりも、直線的な言葉が心に響く気がします。
そして、彼は、妻を沖で待つ・・・。
そして私は・・・? (2006.07.25)