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「盗作」上・下

  飯田譲治・梓河人



完璧な創作のはずだったーーー。
とてつもない物語が幕を開ける。
面白さが、どうしよう、止まらない!
新ジャンルの超(×100)エンタテイメント!(帯より)



上下2巻ですが、面白いようにサラサラと読めました。

「天啓を受ける」物語です。
なんの取り柄もない普通の女の子が、なんの取り柄もない故に、天から最高の授かり物をする・・・。
それは、ありそうな話だし、そんな作品を見てみたいと、切に思ってしまいます。
ただ、当事者には、なりたくない。
題名が示唆するように、この物語では、それは、盗作という汚名にまみれてしまうのです。

最近も、絵画の世界で、ありましたねぇ、盗作疑惑事件。
本人は、そんなつもりとは、心底思っていなくても、周りが、そうだと断定すれば、その作品だけでなく、その人間そのものまでもが、抹殺されかねない怖ろしさ。
私には、幸い、芸術的才能がほとんど無いらしいので、芸術家の発想や、その琴線が、分からないのですが、芸術を生み出すひらめきというのは、ほんとうに、いったいどこから来るのでしょうか。

天啓の受け手として、天才とも言える彩子は、すばらしい体験をしたかもしれないけれど、やっぱりそれは、なにかの間違いだったのではないかなと思ってしまいました。それも、1回だけではないんですから困ったものです(^^;。
インスピレーションを、放出するにしても、あちこちにばらまかないで、1回だけに限定して欲しいものですよねーーー。それなら、こんな騒ぎにならずにすむのに・・・。

著者の飯田さんは、映画の監督なので、この小説も映画化するのかもしれませんが、啓示を受けた作品、特に、絵画と音楽を映像化するのは、難しいでしょうねーーー(^^; (2006.08.07)