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「夢見る黄金地球儀」
  海堂尊




首都圏の端っこに位置する桜宮市に突如舞い込んだ一億円。その名も「ふるさと創生基金」。だがその金は黄金をはめ込んだ地球儀に姿を変え、今では寂れた水族館にひっそり置かれているだけとなったーーーはずだった。が、ある日を境にトラブル招聘体質の男・平沼平介の日常を一変させる厄介の種へと変貌する。 八年ぶりに現れた悪友が言い放つ。「久しぶり。ところでお前、一億円欲しくない?」かくして黄金地球儀奪取作戦が始動する。二転三転四転する計画、知らぬ間に迫りくる危機。平介は相次ぐ難局を乗り越え、黄金を手にすることができるのか。『チーム・バチスタの栄光』の俊英が放つ、抱腹絶倒のジェットコースター・ノベル! (表紙折り返しより)



「チーム・バチスタの栄光」が大ヒットした著者が初めて医療関係から離れて書き上げた軽快なコメディー小説です。
この小説の背景になっているのが、竹下内閣が行った、全国の市区町村に対し1億円を交付した、いわゆる「ばらまき助成金」などと悪口を言われた政策です。あの時、あの一億円は、どのように使われ、そして、この小説の舞台である2012年、桜宮市では、どのような結果になったのか。
海堂尊ファンならば、今までとはがらりと違ったこの小説の中にも、見知った人の名前を見かけたり、あの懐かしい?螺鈿の話題が上ったりするところも、うれしいところです。

前半は、結構面白かったです。新しいキャラクターが登場して、全く新しいストーリー展開。それからどうなる?という、期待感が強かったです。
主人公の父親、平沼社長が作る機械の斬新さと、ネーミングのばかばかしさも、好きでした。
ただ、後半になってくると、壮大な計画?のわりには、平介のドジ加減が、目に余ったり、細部が気にかかったり、公共の電波でそんなことを?とか、気になることが多くて、どんどん冷めていってしまいました。まあ、こういうのが、海堂氏の持ち味なのかもしれませんが・・・。
全体とすると、うーーーむ(^^;って感じでしょうか。 (2007,12,14)