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「愛しの座敷わらし」
荻原浩  


大切なものは、どこにあるのだろう。
東京から田舎に引っ越した一家が、
座敷わらしとの出会いを機に家族の絆を取り戻してゆく、
ささやかな希望と再生の物語。 (帯より)



同じ著者の「押入れのちよ」が可愛くて好きだったので、これも期待してました。
こちらは、本物?の座敷わらし。一応妖怪らしいけれど、怖さはなくて、逆に福を呼び込むらしいです。

でも、どこもかしこも、昼も夜も、明るい現代、引っ越した家に、何かがいる!といっても、「あ、座敷わらしだ」と、喜ぶ人は、まず、いないでしょう。
とりあえずは、怖い!(^^)。いないはずのものが見えたり、動かした覚えのないものが移動していたら、怖さの次は、自分を疑ってしまうのも当然ですね。

この本の主人公一家も、そうでした。
小学4年の智也と、80近くの祖母は、子供と年寄りということで、座敷わらしがはっきり見え、中学生の梓美と、母親の史子は、鏡越し。そして、父親の晃一は、とうとう見えなかったとか・・・。

私としては、鏡越しに見えるのが、一番辛い気がします・・・(^^;。

でも、とにかく、この座敷わらしちゃんが、可愛くて、母親におぶさっていたり、自転車に乗っていたりする姿が、目に浮かぶようでした。
実は、座敷わらしには、悲しい過去が・・・。ここは、ちょっと泣いてしまいそうでした。

でも、この騒動のおかげで、ばらばらだった家族が一つにまとまり、それぞれ、かたくなだった心も溶け、読み終わって、よかったな〜〜と、しみじみしてしまう本でした。 (2008,05,22)