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「死にぞこないの青」
乙一  





飼育係になりたいがために嘘をついてしまったマサオは、大好きだった羽田先生から嫌われてしまう。先生は、他の誰かが宿題を忘れてきたり授業中騒いでいても、全部マサオのせいにするようになった。クラスメイトまでもがマサオいじめに興じるある日、彼の前に「死にぞこない」の男の子が現れた。ホラー界の俊英が放つ、書き下ろし長編小説。 (裏表紙より)



乙一さんの原作が映画化されると聞いて先に読んでみました。

最初は、少年の成長物語だと思っていたら、それが、いじめに発展し、そして、ホラーとなってゆきます。

「人の目を気にして生きるということ」を描いた作品です。
頼るべき先生からのいじめを受けて、主人公のマサオは、悲しく、辛く思いつつ、人の目を気にして、それを受け入れています。
マサオの追い詰められてゆく気持ちが想像できて、読み続けるのが辛かったです。

そんな時、「死にそこないの青」が登場します。
青の描写は、怖ろしく、ゾッとしますが、青の存在を受け入れたマサオはある決断をする・・・。

いじめに走った先生は、狡猾で、救いようのないダメ大人ですが、彼もまた、人の目を気にして、自分を守ることに必死だったのでしょう。
辛い目にあい続けたマサオの方が、よっぽど大人でしたね。 (2008,08,13)