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「ファミリーポートレイト」
桜庭一樹


あなたとは、この世の果てまでいっしょよ。呪いのように。親子、だもの。ママの名前は、マコ。マコの娘は、コマコ。『赤朽葉家の伝説』『私の男』―集大成となる家族の肖像。 (「BOOK」データベースより)



母親、眞子と歩んだ駒子の半生記です。
第一章は、実体のある眞子と、そして、第二章は、実態のない眞子とともに・・・。

めちゃくちゃな母と共に生きる駒子にとって、唯一、最大の愛情の対象はやはり母親。それが、どんなにひどい母親でも、子供は、母無しには、生きてゆけない・・・。
コーエーの部屋で、森の中の村で、温泉町で、養豚の町で、動物園の町で、隠遁者として、幸せになりかけたり、ずっと不幸だったり、そして、絶え間なく何者からか、逃げ続ける親子。
この10年間で、駒子は、形成されたのでしょう。

第二章で駒子は、熟成されてゆきます。
一章での駒子は、悲しすぎて、読むのも辛かったです。こんな眞子のような母親でも、いた方が良かったのか、とても疑問だったのですが、二章で、その時に蓄積された駒子の才能が花開いたようで、ホッとしました。
この本の中で一番好きなのが、「犬の心」での駒子です。
次から次に物語を作り出す駒子。これこそあの眞子との10年間が無駄でなかったことの証明でしょう。

ラストの方は、いささか観念的で、少々読み疲れてしまいましたが、ボリュームのある読み応えのある作品でした。 (2009,02,02)