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「訣別の森」
末浦広海











ドクターヘリの機長・槇村は、墜落した取材ヘリを救出。怪我人は、自衛隊時代にかつて愛した部下・一恵だった。その夜、一恵は入院先から姿を消した―。課せられた「使命」と「魂の絆」の狭間で、男たちが咆哮する!第54回江戸川乱歩賞受賞作。 (「BOOK」データベースより)



元自衛官で、ドクターヘリのパイロット、槇村が遭遇したヘリコプターの墜落事故現場。その時から槇村は、大きな事件に巻き込まれてゆくのだった・・・。

まず、ヘリコプター、自衛隊、オフロードバイク・・・と、私がよく知らない話題がどんどん出てきます。またそれが、詳しく書かれてあるので、読み飛ばそうか・・・?と思ったこともありましたが、じっくり読んでゆくと、だんだん、状況が見えてきて、面白く読むことが出来ました。

第54回江戸川乱歩賞受賞作のひとつ(もう一作は翔田寛さんの「誘拐児」)です。
江戸川乱歩賞とは、フジテレビが後援している文学賞なので、映像化しやすい作品が選ばれる気がしますが、この作品も、そういう意味で、飽きさせない作りになっていると感じました。

ひとつの事故から、様々な人の思惑が徐々に見えてくるところは、なかなか見事で、どんどん引き込まれてゆきました。

ただ、事件が、主人公槇村のごく身近な範囲だけで収束しているところが、ちょっとばかり都合良すぎな気もしました。結局、中心人物である槇村だけが蚊帳の外だったのね〜という感じでしょうか。
女性の心理も、うむむ・・・と、首をひねる所がありました。

でも、北海道犬のカムイとか、動物のシーンは、目に浮かぶようにリアルで、良かったです。 (2009,02,05)