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「あなたと共に逝きましょう」
村田喜代子





老い方の下手な団塊世代の共働き夫婦を襲った、夫の動脈瘤破裂の危機。硫黄の噴く北の岩盤浴の地へと舞台は流れる。心臓を停められても、人はなお尊厳を保てるか?妻の夢の中へ逢いに来る男。人間の不可思議な「体」と「心」の深淵に潜る、作者、5年をかけた新境地! 生への活路か、逃避行か・・・ (帯より)



団塊世代の共働き夫婦の夫が、一触即発の病気になってしまった話です。
私自身は、死に直結する病気は、まだ実感がありませんが、この小説の主人公である団塊の世代の方たちは、こういうことに、もう、目を背けられない時期にさしかかっているということです。
60才・・・最近は、”アラ還”と言うそうですが、昔はともかく、今ならば、死ぬには、まだ早いという感覚がありますね〜。でも、ニュースでは、時たま、60才代、時には、50才代の人たちの訃報を目にしたりします。いくら長寿大国日本と言っても、当然のことながら、全ての人が、80才以上の長生きを出来るわけではないんですね。
もちろん、20代とか、もっと若くても、病気にかかる人は多いわけで、どんな人でも、その可能性は、いつも抱えているのです。

病気の前駆症状から、病名診断、そして、療養生活まで、知らないことばかりだったので、結構ハラハラドキドキしながら読みました。
病気の当事者ではなく、伴侶として、長く生活を共にした妻という立場の視線なので、近親者でありながらも、ちょっと離れたところから病人を観察したりもするわけで、客観的に闘病を見れたのが、興味深かったです。

病気になったら、民間療法や、サプリメントなど、今まで知らなかった情報も、どんどん入ってくるんですね〜。
彼らが湯治する”焼野温泉”は、東北の”玉川温泉”のことでしょうか。ここ、旅行で行ったことがあるんですが、でも、観光客がお気楽に行くような場所ではなかったです。
ここでの話も細かく描かれていましたが、少々専門的?すぎたかな。実際に病気になったときに、参考にしたいと思いました。

何しろ、健康なときには、分からないいろいろなことが、病気になると、見えてくるということですね。自分のことも、配偶者のことも・・・。 (2009,05,21)