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「分別と多感」
ジェイン・オースティン
中野康司・訳


「分別」のある姉エリナーと、「多感」な妹マリアン。エリナーが思いを寄せるエドワードは、ぱっとしないが誠実な青年。マリアンが激しい恋をするウィロビーは、美貌と気品を兼ね備える情熱の男性。この似合いのカップルに、それぞれ不似合いな人物が複雑に絡み、姉妹の結婚への道は紆余曲折する。19世紀英国の田園を舞台に繰り広げられる恋愛小説の傑作。初の文庫化を読みやすい新訳で実現。 (裏表紙より)



映画「ジェイン・オースティンの読書会」を見てから、彼女の本を実際に読んでみたくて、しょうがなくなりました。
遅読ですが、凝り性なので、やっぱり、執筆の順番通りに、この本から。

第一印象は、200年も前に書かれた本なのに、なんて面白いんでしょう!!でした。

ジェインの原作で、映画になっている「プライドと偏見」「Emma エマ」も、とても面白かったので、ストーリーが面白いのは、想像つきましたが、原作をそのまま読んでも、こんなに面白いんですね〜。
今回読んだのは、初めての文庫になるということで、翻訳も新しくなったそうで、そのせいもあるのでしょうが、面白くて、本を読む手がとまりませんでした。・・・といっても、ずいぶん読み終わるのに時間がかかったけど・・・(^^;。

ストーリーを全く知らなかったので、対照的な性格の姉妹のロマンスの行方を、結構、最後まで、ハラハラしたりしながら読みました。

しかし、200年前のイギリス。
やっぱり今とは、ずいぶん考え方や、生活が違います。

まず、大地主たちの生活が描かれているので、彼らは、家事はもちろん、働く必要がありません。
だから、ゆっくり起きて、広大な土地を散歩したり、読書したり、友人たちとパーティーを開いたり、時間をつぶすことが、彼らの仕事・・・のような感じです。
だから、絶えず、友人を招いたり、招かれたり。
長期にわたって、お泊まりに行ったり・・・。

そして、結婚に関することも、今とは大きく違います。
基本的に自由恋愛なのですが、それには、財産の多少が、大きく関わってきます。
財産が少ないと、思ったような結婚は、なかなか出来ないようでした。
ちなみに、大富豪の年間所得は、1億円。普通で、2〜3千万円。財産がなくて聖職につくことができたら、4〜500万円とかいう感じみたいです。
だから財産がふんだんにある人たちは、頻繁に豪華なパーティーを開いて人を呼び、少ない人は、メイドを雇うのも大変なのでしょう。

それから年齢的なことも、びっくり。マリアンを密かに愛するブランドン大佐などは、35歳にして、ジジイ扱いですからね〜。
まあ、ヒロインたちの年齢が、17とか19とかなので、しょうがないかな。

何しろ、ヒロインばかりでなく、登場する全ての人たちが、個性的でインパクトがあり、たくさんの人が登場するのに、混乱せずに読み切れるのですから、すばらしいです。

次は、「高慢と偏見」・・・映画では、「プライドと偏見」でしたが・・・。これも読むのが楽しみです(^^)。 (2009,09,29)