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「パイレーツ ー掠奪海域ー」

   マイクル・クライトン


1665年9月、カリブ海のジャマイカ。ジャマイカはイギリスの植民地だが、まわりをスペインの植民地に囲まれている。ジャマイカの総督は、財宝を運ぶスペイン船を襲撃して財宝を奪う私掠行為を推進し、このためポート・ロイヤルの町は繁栄をきわめているが、無法者たちであふれている。ある日、私掠船の船長ハンターは総督からスペインの財宝船の情報を知らされる。財宝船は、スペイン領の島マタンセロスに停泊しているという。マタンセロスは難攻不落の要塞島で、守備隊数百人、大砲12門を備えている。司令官は、残酷なことで悪名高いカサーリャという男だ。ハンターは、マタンセロス島をよく知る人物から島の地理を聞き、襲撃に必要な一騎当千の人材を集めてまわる。参加することになったのは、天才的な航海士、火薬の専門家、怪力の巨漢、驚異的な視力を持つ男装の麗人、カリブ海一の冷酷な殺し屋の5人。ハンターは、敵の意表をつく上陸作戦を立て、彼らのほか60名の船乗りらとともに、特殊な装備を持って、出航する。だが、行く手には思わぬ難関が次々と待ち受けていた! 急逝した巨匠のパソコンの中から発見された遺作。波瀾に満ちた展開で描く大冒険小説。 (表紙折り返しより)




2008年に急逝したマイケル・クライトンのパソコンの中に保存あった遺作だそうです。
まだ推敲途中だと思われ、こういう作品が世に出てしまうのは、作家としては、その心中、どうなんだろう??と慮ります。
しかし、それをあえて出版し、しかも映画化も決定しているというのですから、いかに彼の作品を愛し、そして、その突然の死を惜しむ人が多いかが分かりますねぇ。

さて、ストーリーは、彼の新境地とも言えるパイレーツ=海賊ものです。
さてさて、どういう話なのでしょう。

出だしこそ、ちょっともたついた感じで、ちょっと今までのクライトンとは、違うかな??という危惧を抱いたのですが、いざ、話が滑り出すと、やはり面白いです。

パイレーツというと、どうしても、ジョニー・デップの映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズを思い起こしてしまうのですが、本作は、もっと現実的。
船の扱い方や、海での戦い方、はたまたその頃の政治的なことまで描かれています。

それにしても、その当時の海賊・・・と言わず、その当時の人たちって、現代の人とは、ひと味もふた味も、違いますね〜。
もちろんメインに登場するのが、海賊たちなので、当然荒くれ者の集まりなのですが、彼らの生命力とか、思い切りの良さとか、ぎりぎりの状況に置ける命を掛けた判断力、決断力が見事で、うわ、凄いなぁと思ってしまいます。
まあ、もちろん物語なんだから、誇張されているんでしょうけれど(^^)。

ただ、途中で、かの映画を意識したのか、突然冒険小説風になるところがあって、これは??!と、思ったりしましたが・・・(^^;。

巻末の、訳者の酒井昭伸さんのあとがきを読むと、クライトンのこだわりがいろいろと書かれてあって、その辺りも、面白かったです。

映画化では、スピルバーグが監督をするという話もあるそうなので、楽しみです。
でも、配役の方は、難しいですねぇ。
ジョニー・デップで見事に造形された海賊像を、また違う形で、魅力たっぷりに演じてもらわなければならないのですから・・・。
ショーン・ビーンとか??(^^)。
最近ちょっと注目しているエリック・デインとか〜??
う〜〜ん、悩むわ〜〜(^^)。 (2010,03,04)