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「骸の爪」
道尾秀介  
   

 
ホラー作家の道尾は、取材のために滋賀県山中にある仏像の工房・瑞祥房を訪れる。彼がその夜見たのは、口を開けて笑う千手観音と、闇の中で頭から血を流す仏像。しかも翌日には、仏師の一人が消えていた。道尾は、霊現象探求家の友人・真備と、真備の助手・凜との三人で瑞祥房を再訪。数日後、さらに仏師が一人、工房の天井に血痕を残して消える。「二人はもう生きていない」と呟く先代房主。工房の誰もが口を閉ざす、二十年前の事件とは?それは呪われた仏像と、どんな関係が!? (裏表紙より)



道尾さんの3作目の長編で、「背の目」と同じく、ホラー作家の道尾や、霊現象探求家の真備が登場します。

ホラー作家の道尾が出てくるので、一見、ホラーのようなのですが、実は違う・・・という、道尾さんテイストが、現れている作品でした。
「背の目」が、とっても怖かったので、これもそうなのかな〜〜と思っていた私にとっては、ちょっと肩すかしかな〜。

でも、舞台は、仏像がゴロゴロ?!している、普通の人は、夜には、行きたくないような場所。
しかも、手だけーーとか、頭がぱっくり割れてーーーとか(^^)。

ただ、昼間は、仏像の工房として、見学するには、なかなか面白そう。
作中にも、仏像のあれこれが、語られていて、なかなか興味深かったです。
特に、奈良の興福寺で、阿修羅像などの公開が始まった時期で、私も見学に行ってみたいと思っていたちょうどその時に読んだので、さらに、ためになりました。(結局、興福寺には、雨で行かれなかったけど(T_T))
阿修羅像って、乾漆像なのね〜〜フムフム(^^)。

普通に、読み終えて、なるほど、そうだったのね〜。と思ったのですが、
その、謎解きのあれこれのすごいこと。
いろいろな現象に対する原因と結果が、見事に解き明かされていて、作家さんって、すごいな〜〜と、しみじみ思ってしまいました。
読む方は、気楽に、さらさらと読むだけなのに、
もっと、ありがたく読まないと、それこそ、罰が当たりそうです(^^)。 (2010,10,13)