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「ノーサンガー・アビー」
ジェイン・オースティン   中野康司=訳 



17歳の平凡な少女キャサリンは、リゾート地バースで恋に落ち、由緒あるお屋敷に招待されて有頂天。古めかしいお屋敷で、愛読中のゴシック小説に出てくるようなホラー体験が出来る、と大喜びでノーサンガー・アビーに出かける。ところが、小説の読み過ぎでキャサリンの妄想はとんでもない方向に・・・。オースティン初期の辛口ラブコメディー。定評ある読みやすい新訳で初の文庫化!(裏表紙より)



オースティン、22,3歳頃に書かれた作品ですが、なかなか出版されず、彼女の死後、やっと出版された作品だそうです。
その当時には、ちょっと異質な恋愛小説と受け止められて、出版社が二の足を踏んだのでしょうか。

でも、内容は、今まで読んだ彼女の作品の中では、一番軽快で、今の時代であれば、コミックにでもなりそうな、楽しいラブコメでした。

周辺の登場人物のキャラクターは、とてもはっきりした性格の面々で、やることなすこと、いちいちわかりやすい(^^)。

一方、主人公であるキャサリンは、想像力たくましい、小説に耽溺する、地味めな文学少女。
17歳の若い彼女は、周りの人たちに翻弄させられながらも、
日々、いろいろなことを吸収して、人間形成してゆくのです。

後半、ノーサンガー・アビーに行ってからの彼女の行動や、思考は、思わず読みながら声を出して笑ってしまうほど、面白かったです。

また、主人公を客観的に見ながら、作者自身が話を進めていくところも、変わった趣向で、
所々で、オースティン自身の考えなども、交えていて、興味深いです。 (2011,01,19)