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「乙女の密告」
赤染晶子

京都の大学で、『アンネの日記』を教材にドイツ語を学ぶ乙女たち。日本式の努力と根性を愛するバッハマン教授のもと、スピーチコンテストに向け、「一九四四年四月九日、日曜日の夜」の暗記に励んでいる。ところがある日、教授と女学生の間に黒い噂が流れ…。(わたしは密告される。必ず密告される)―第143回芥川賞受賞。 (帯より)



京都の外語大学でドイツ語を学ぶ、みか子たち”乙女”の物語です。

作風は、コミック調。
だから、すらすらと読めるし、難しいことが書かれているわけではないので、楽しく読めました。

登場人物も、とっても個性的。

まず、ドイツ語教授(男)が、アンゲリカ人形を常に持ち歩いている変な人・・・(^^;。
私は、まだ遭遇したことがないですが、世の中にはいるそうですね、ちょっと大きめの人形を、抱いて行動する人が(^^;。

そして、女子学生たちのキャラクターも濃い!
彼女のたちのことを、文中で、”乙女たち”と呼ぶのが、この本のひとつの特徴でした。

著者も、京都の外語大学を卒業しているので、大学には、こんな雰囲気があったのかな〜と思いつつ読みました。

女子たちの世界は、濃厚で、ちょっと変。
私も、女子校出身なので、その辺りの雰囲気は、よく分かります。
トイレだって、絶対一人じゃ行かないのよね〜(^^;。
そして、憶測と悪意の混じった噂話。

みか子は、うわさの渦中にいる自分と、隠れ家に住んでいたアンネ・フランクの思いを掛け合わせて、
自分自身のアイデンティティをつかもうとあがき続けます。

読みやすいのに、考えさせられるものが、どっしりとし存在する本でした。
サラリと読んだ後に、じっくりと読みたい本です。 (2011,06,07)