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「孤舟」
渡辺淳一

定年後の夫婦の形を見つめる、異色の長編小説 大手広告代理店を定年退職、バラ色の第二の人生のはずが、威一郎を待っていたのは、家族との深い溝だった。娘は独立、妻は家を出てしまう。威一郎は、デートクラブに入会し、ある女性に出会うが・・・。 (内容紹介より)



渡辺淳一さんの本は、昔よく読んだのですが、最近は、全く読んでいませんでした。
というのも、渡辺さんが、医師ということもあり、医療系の作品は、面白かったのですが、
その後、不倫小説っぽいものばかりになり、読むことに嫌気がさしたからです。
だって、彼の描く女性像って、男から見た、理想像的な女性ばかりで、
女の私から見ると、あり得ない〜〜って感じがするのよね。

そんなわけで、しばらく遠ざかっていた渡辺淳一さんの本、久しぶりに読んでみました。

自他共に、”仕事のできる男”だった威一郎は、60歳を迎え定年で退職。
その後は、悠々自適な毎日を送る・・・はずだったが。

一時、こういう話、よく聞きましたね〜。
定年退職したものの、仕事人間だった夫には、趣味もなく、毎日をもてあまし、妻には、邪魔者扱い。
妻にとっても、夫のいない生活から、小うるさい?夫にベッタリされて、ストレス状態。

威一郎の考えていることが、いちいち笑えて、面白かったです。
本当に、かつて会社人間だった人って、生活人としては、失格ですねーーー。

でも、これは、妻にも大きな責任があるはず。
だって、こういう夫にしてしまった半分は、妻の責任でしょう。

前半は、仕事を辞めた男の右往左往が面白かったですが、
後半、デートクラブ云々は、面白いけど、現実は、こんなきれい事では、すまないはずよねーー。
結局は、いつもの渡辺さん好みの女性登場で一段落でした。 (2011,10,31)