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「水底フェスタ」
辻村深月

村も母親も捨てて東京でモデルとなった由貴美。突如帰郷してきた彼女に魅了された広海は、村長選挙を巡る不正を暴き“村を売る”ため協力する。だが、由貴美が本当に欲しいものは別にあった―。辻村深月が描く一生に一度の恋。 (「BOOK」データベースより)



辻村さんの作品は、先日読んだ、「オーダーメイド殺人事件」に続いて2冊目です。
「オーダーメイド〜」は、途中までは、その内容に、ちょっと退き気味だったけれど、最後には、納得の読後感でした。
今回のこの作品は、途中までは、先の読めない展開で、とても面白かったのに、最後はどんよりしてしまいました。

年に1回、ロックフェスティバルが開かれる、山間の村を舞台にした物語です。

高校生で、何不自由なく過ごしてきた主人公・広海。
理解ある父親や、友だちにも恵まれ、将来も明るい彼が、村出身の有名人・由貴美に、ロックフェスで出会ったことから、
ドロドロとした村の真実を知ることになってしまいます。
そして、信じられないような、旧態依然とした村の姿が、次々と、明らかになってゆくのでした。

意外な展開がどんどん広がってゆき、どういうことになってしまうのか、ドキドキしながら読み進んでゆきました。
広海の感じる混乱や疑惑を、同じように感じて、心がざわめきました。
途中、彼に降りかかる悪意や災難を、受け入れがたくなり、思わず読む手が止まってしまったことも・・・。

冒頭は、明るい青春小説風だっただけに、中盤、そしてラストの重苦しさは、受け入れるのが、辛かったです。
そして、あり得ないような展開になってしまったことが、残念でした。

収穫としては、行ったことのないロックフェスの様子を知って、楽しそう〜、いつか行ってみたいな〜と思ったこと。
そして、辻村さんの他の作品も、読みたくなりました。 (2012,04,20)