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「国を蹴った男」
伊東潤



武田信玄、上杉謙信、織田信長、豊臣秀吉―天下に手を伸ばした英雄たちの下、男たちはそれぞれの正念場を迎える。戦国小説集。 ((「BOOK」データベースより)



戦国小説など、全く読んだことがない私は、伊東潤という作家さんを全く知りませんでしたが、
今回、直木賞候補になったことで、調べてみると、時代小説をたくさん書かれている方でした。
先日読んだ直木賞受賞作「等伯」も、時代小説だったので、これでちょっと免疫が出来たかも(^▽^)。

6編の戦国時代を描いた短編集です。


「牢人大将」
何しろ初めて読む戦国小説です。
読みはじめは、とても苦労しました(^_^;。
まずは、タイトルにある”牢人”という言葉からして意味が分からない・・・(^_^;。
でも、それも読んでいくうちに理解出来るようになり、話の面白さに、徐々に引き込まれました。
あえて牢人として生きる生き様のあっぱれなこと!
命を張ってなんぼの世界に生きる男たちの美学です。


「戦は算術に候」
この話の主人公は、誰でも知っている戦国武将、石田三成。
そして、描かれているのは、めっぽう算術に強い男、長束利兵衛正家。
この時代は、腕に覚えのある男だけではなく、こういう事務系の人間も、必需だったわけですね。
10万の兵を3日間出兵させるためには、その兵糧を運ぶ馬が752頭も必要だなんて!!
こういう話、面白いです。
戦国小説にはまってしまいそう(^▽^)。


「短慮なり名左衞門」
上杉謙信が亡くなった後の跡目争い”御館の乱”前後の話です。
主人公は、全く知らない人物でしたが、彼が関わる重要な人物として、直江兼続・・・この当時は、樋口兼続ですが・・・が、登場します。
彼なら、NHKの大河ドラマで、妻夫木聡が演じてたので、知ってます(^▽^)。
・・・と思って読み進むと、これが、大河とは全く違う角度からの彼が描かれていて、これまた面白い!(^▽^)


「毒蛾の舞」
賤ヶ岳の合戦の話です。
歴史に弱いので、このあたりの話は、よく分からないのですが、ここにも、、大河に出てきた前田まつ・・・前田利家の妻・・・が出てくるので、俄然面白くなりました。
前田利家って、そういう人だったのか〜〜(^▽^)。
この時代は、男も女も、頭脳戦なんですね。


「天に唾して」
秀吉に刃向かった茶人、山上宗二の話です。
茶人ながら彼もあっぱれな人物でした。
秀吉の描き方が峻烈(^▽^)。


「国を蹴った男」
蹴鞠職人の話です。
狭い世界で、生きる職人が、京を出て、駿河の今川家のお抱え鞠職人になり、波乱に富んだ人生を送ります。
彼が仕えた今川氏真の人生も、そして、それに伴う、今川家の命運も、面白く読みました。


初めての戦国小説、短編集でしたが、とても面白かったです。
これから、ちょっとこの分野を開拓しちゃおうかしら(^▽^)。
(2013,03,14)