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「新参者」
東野圭吾




日本橋。江戸の匂いも残るこの町の一角で発見された、ひとり暮らしの四十代女性の絞殺死体。「どうして、あんなにいい人が…」周囲がこう声を重ねる彼女の身に何が起きていたのか。着任したばかりの刑事・加賀恭一郎は、事件の謎を解き明かすため、未知の土地を歩き回る。 (「BOOK」データベースより)



東野さんの作品は、ほとんど読んでいますが、その中で、読み逃していたのが、この作品です。

先日読んだ「麒麟の翼」の映画版を見たとき、映画の題名に、「劇場版・新参者」と付いていたので、「ハテ?」と思ったところからこの本の存在を知りました。
成る程、この作品の延長線上に、「麒麟の翼」があったわけですね。

短編の形式を取っていますが、実は、ひとつの殺人事件を大元とした連作になっていて、最終的に、一つの結末に終結します。

主人公は、知る人ぞ知る加賀恭一郎。
事件の起こった東京・日本橋の小伝馬町周辺で繰り広げられる人々の営みにまつわる話は、それぞれが小粋な人情話になっていて、まるで現代風、人情捕物帖のような風情でした。
こんな親身になってくれる刑事さんなら、一人ぐらい知り合いに欲しいところです。
しかも、刑事としては、切れ者なんだから、申し分無しですね。 (2013,04,14)