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薔薇の血を流して
皆川博子


新鋭の海外取材中編小説集
日常生活の陰の部分にひそむ過ぎし日の記憶。小さな裂け目を破って噴出した黒い奔流の行き着く果てはーー
現在の崩壊?虚構の再確認?(帯より)



中編小説集で、3編の作品が掲載されています。

鳩の塔
アイルランドに旅した日本女性が遭遇するIRA騒動。
皆川さんの海外を舞台とした幻想小説の礎になった作品のような気がします。
終盤には、驚くような事実が次々と発覚して、皆川ワールド全開でした。
この話が一番好き(^_^)。


薔薇の血を流して
皆川さんの作品によく登場するオートバイの話です。
あんまりバイクには、興味がないので、またかという気もしましたが、今回の主役はサイドカー付きのバイクだったので、これは、新鮮でした。
そして、終盤に判明した人生模様のその後は、どうなったのでしょう。


モンマルトルの浮彫(レリーフ)
パリで自殺未遂をして、日本に強制送還された女性は、症状が落ち着いたある日、再び自殺を図り、帰らぬ人となった。
死ぬ直前に彼女に衝撃を与えたある事実とは何なのか。
真実を突き止めるために、彼女が入院していた神経科の医師が奔走する・・・。
ミステリアスで且つ官能的で面白かったですが、ラストが腑に落ちず、残念。 (2015,03,24)